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I T先進国のオフショア活用に学ぶ〜開発人材の不足を解決できるかー日本企業がオフショア開発に乗り出すメリットとは?


目次[非表示]

  1. 1.日本国内は深刻なIT技術者不足
  2. 2.IT先進国では既にオフショア開発が進んでいる
  3. 3.欧米企業に対する根本的不利~「欧米は内製率が高い」の誤解
    1. 3.1.世界全体で見るとITエンジニアはどのくらいいるのか?
    2. 3.2.日本 vs 欧米企業の決定的な差
    3. 3.3.昨今のオフショア挑戦ユーザ企業の考え方


 日本企業がグローバル市場での競争力を強化するために不可欠とされているIT活用ですが、国内ではIT技術者の求人倍率が約8倍となるなど技術者不足が進行しています。その結果、企業のIT活用が遅れ、競争力が低下、事業撤廃を余儀なくされる可能性も。
その打開策として、ベンダー任せの開発体制からの脱却を目指し、内製化を推進する企業も増えてきていますが、国内の技術者不足により内製化どころかベンダーの確保も難しくなっているのが現状です。

日本国内は深刻なIT技術者不足

 はじめに、国内の技術者不足の現状を示したいと思います。DODA転職求人倍率レポート(2018年2月)によると、IT技術者の求人倍率は8.01倍。近年、技術の進化や市場のグローバル化による「第4次産業革命」で、企業は従来の価値観に変革を求められ、社員の就業構造自体の再構築も迫られています。

第4次産業革命による就業構造変革の姿

<図−1>第4次産業革命による就業構造変革の姿

IPAがまとめた「IT人材白書2017」によると、このような変化の波に対する国内企業の認識は、ネットサービス企業で「すでに変化の中にいる」という認識が40%弱ほどで最大割合となる一方、ユーザー企業においては、「まだ変化の波は先」という認識が多数を占めています。


変化に対する国内企業の認識

<図−2>変化に対する国内企業の認識

世界的な市場をみると、すでに市場のグローバル化は進行し、ITを駆使して急成長する「ユーザー企業」も勃興。“Industry 4.0“を国策として強く推す国家もある中、日本の企業は変化に対する認識が弱いようです。 また、環境の変化に対する認識が高い企業ほど、経営者自らが主導していくべきという回答が多いことにも注目です。


変化に対し誰が主導していくべきかの認識

<図−3>変化に対し誰が主導していくべきかの認識

この結果から、IT部門を経営や既存事業の「下請け」、業務効率化を進めるための「御用聞き」とするのではなく、「ITによる企業価値創造・事業変革」の中心に据えてIT活用を推進する体制構築が必要とされていることが分かります。また、データからは、ネットサービス企業、IT企業、ユーザー企業で、IT活用に対する認識を経営陣がどの程度持っているかも読み取ることができます。


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IT先進国では既にオフショア開発が進んでいる

 IT活用の進む欧米では、どのようにIT活用を行っているのでしょうか。「IT人材白書2017」によると、日米のIT技術者の所属先を比較してみると、日本ではITサービス企業に所属する技術者が72%に対して、ユーザー企業は28%。一方、米国では、前者が35%で後者が65%となり、日本と数字が逆転しています。


日米IT人材平均年収比較

<図−4あり>日米IT人材平均年収比較◆(出典:IPA IT人材白書2017)

日本は圧倒的にユーザー企業に所属するITエンジニアの割合が少ないということがわかります。これは、日本のITエンジニアの年収が一般就業者と比べ、あまり高くないことが背景と考えられます。


海外IT人材の割合

<図−5>海外IT人材の割合◆(出典:IPA IT人材白書2017)

では、日本企業も「自社で」「高い給与で」エンジニアを採用すれば、欧米企業と同等のITによる競争力が身につくのか、内製化すれば解決するのでしょうか。

しかし、そこで見落としてはいけないのが、欧米企業では、オフショア開発が以前から「当たり前」になっているという事実です。世界各国に英語を話せる技術者は多く存在している上、インターネット・クラウドの普及により場所の制約なくソフトウェアの開発や運用ができるようになりました。オフショアの効果が期待できる場合、英語圏の企業では、自社の事業や戦略をよく理解する社内のエンジニアが企画・プロトタイピングし、インドをはじめとする国外の「英語でコミュニケーションできる」プログラマーが開発、運用及びエンハンスを継続して行います。
そのようなスキームを容易に実現できる英語圏の企業と、コミュニケーション言語だけでなくプロジェクトマネジメント手法や開発体制の整備も「ガラパゴス化」している可能性のある日本企業では、そもそも「活用できる技術者人口」の母数が圧倒的に違うといえます。
技術者不足という課題を日本国内だけで解決しようとするのは難しいのかもしれません。

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欧米企業に対する根本的不利~「欧米は内製率が高い」の誤解

 COVID-19の緊急事態宣言の最中、貴社のIT体制(システム運用体制)はリモートへ切り替えは済んでいますか?※自社社員・業者(SES・派遣)含む

“人の移動が制限される”ことを前提にした『業務態勢強化』といえば、中長期的に取り組むお客様の次世代戦略テーマの一つに『コア顧客との関係強化』があります。
カスタマエクスペリエンス再定義による顧客との信頼強化、ロイヤリティプログラム再構築により、コア顧客との関係・取引強化による安定収益につなげることができます。

また『省人化の加速』により、業務の自動化範囲拡大業務での人間系接点の低減、セルフサービス推進、オンライン等での業務運営体制構築による人間系依存業務低減や『リスク態勢強化』では、業務可視化~キャパシティ適正保持、プロセス再整理による業務リスク低減まで、危機局面における業務耐性の強化があげられます。
そして、『コスト削減』では、短期的コスト削減施策の推進、簡素化・標準化、業務運営コスト低減、システム保守/運用コスト低減、固定費削減による利益確保があります。

しかし、企業ごとにIT対応優先度も違うとは思いますが、当たり前ですがいずれも実現しようとすれば、どれもこれもお金と技術者が必要となり、一方でコスト削減も必要となってきます。言うは易く行うは難し・・・。果たしてこれらを全て可能にする会社がどれほどあるのでしょうか。

グローバルスタンダードへの挑戦を進めてきた国内企業の中には、今回のコロナ渦で効果を実感し、オフィスにいない技術者と普通にシステム開発・運用が進んでいる、あるいは社員が出社できなくてもプロジェクトは大きな影響を受けずに済んでいる企業が少なからず存在します。
これが欧米企業が実現しているグローバル開発体制の効果の一角ともいえます。


そもそも、そうした企業がグローバル開発体制を導入し、コロナ渦の前から一部の企業が取り組んできた背景とは何だったのでしょうか?
その要因として一つ目に「日本の慢性的IT人材不足」があり、二つ目の要因として「内製化によるDX推進」したものの、内製化したくても国内での採用が困難だったことが挙げられます。
では、日本企業の数倍の速度で「普通にDXを推進している欧米企業」は日本とどんな点が異なるのでしょうか?

繰り返しになりますが、IPA「IT人材白書2017」によると日本の「IT企業」と「それ以外の企業」に所属するIT技術者の比率は、IT企業72%、その他の企業28%です。一方米国ではこの比率は、IT企業約35% その他の企業約65%となっています。つまり、日本:一般企業所属のIT技術者=約30万人 (総人口の約0.2%)、米国:一般企業所属のIT技術者=約275万人 (総人口の約0.8%)なのです。

それは、「欧米企業はユーザ企業にIT技術者が多いから内製化できている?」あるいは、「米国は日本の約4倍のIT技術者がいるから進んでいる?」からなのでしょうか。そこには4倍どころではない決定的な差があるようです。


世界全体で見るとITエンジニアはどのくらいいるのか?

 stack overflow調査データ2019の国別アクセス占有率を見ると、Japan1.13%で総ITエンジニア数約100万人に対して、USA22.23%の総ITエンジニア数 約420万人というデータがあります。
フェルミ推定(※フェルミ推定:実際に調査するのが難しいようなとらえどころのない量を、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、短時間で概算することを指す。)における世界の総エンジニア数はというと、日本のIT技術者人口約100万人でstack overflowの利用者占有率1.13%から単純に占有率から逆算すると、100万人÷1.13%=約9,000万人。世界のITエンジニア人口は約9,000万人と推察されます。

次にフェルミ推定で英語ができるITエンジニア数は、日本のIT人口約100万人stack overflowの利用者占有率1.13%、米国のIT人口約420万人、stack overflowの利用者占有率22.23%で「英語が使えない日本人の利用率が低い」と仮定すると、人口比4.2倍に対し、利用率19.67倍の差があります。
つまり19.67÷4.2=約4.7。これを補正値として計算する⇒英語が使えるITエンジニア数とも推察できます。
次に前述の人口に補正率を適用すると、100万人÷1.13%=約9,000万人、9,000万人÷4.7=約2,000万人(おそらく英語が実用できるエンジニア数)。これにより世界のITエンジニア人口は、英語が使えるITエンジニア:約2,000万人で、データがある国のIT技術者人口比率から全世界人口の1.5%とみると、母国語によらない全世界のエンジニア数:約9,000万人とみられます。


日本 vs 欧米企業の決定的な差

 前述した通り、英語ができるITエンジニア数は、日本のIT人口約100万人に対して英語が使えるITエンジニア約2000万人となり、さらに、一般企業側のIT技術者人口の差も大きく、「作業する技術者」も足りないため、「発注担当」と「作業から抜け出せない技術者」ばかりになり、「考えられる技術者」「自社の事業をよく知る技術者」になる機会が少ない傾向にあります。

下図)日本企業のIT体制として内製化+アジャイル組織を作ろうとしても絶対数が少ないため、少ない椅子を大勢で取り合うようなもの・・・。

日本企業のIT体制イメージ

下図)一方の欧米企業の「IT体制」

欧米企業のIT体制イメージ


昨今のオフショア挑戦ユーザ企業の考え方

 このように日本国内の社員・ベンダーだけで開発や運用を行うのは遅かれ早かれ、いずれ限界を迎えることは明白といえます。
オフショア開発挑戦のメリットは、コスト、若くて優秀な技術者の確保、海外市場向け開発であり、デメリットは、コミュニケーション、オーバーヘッドコスト、低スキル,低品質,納期管理、反日感情、法制度、為替などです。
従来の企業は、メリット・デメリットを比較し、オフショアを行うかどうかを検討していましたが、先進企業は、オフショアを行うのは前提としてデメリットをどう解決するかを検討しています。
こうした昨今のオフショア挑戦ユーザ企業の考え方をベースに、リモート&グローバル開発の世界標準化の波がもうそこまで来ているのかもしれません。




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