海外ECサイトとは?越境ECのプラットフォームの選び方や知っておくべき注意点
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海外EC(越境EC)サイトとは?
海外ECサイト(越境ECサイト)とは、B2C・D2C・B2Bのプラットフォームを利用して、自国の商品・サービスを海外向けに、販売するサイトです。
近年では、新型コロナウイルス感染拡大に伴い世界的に「巣ごもり需要」が拡大しており、越境EC市場が急激に成長しています。海外EC市場への参入に成功すれば、ビジネスの大幅な拡大が期待できます。
各国の海外ECサイトの動向
ここで、近年における海外EC(越境EC)市場の動向について、主要な国ごとに解説します。
中国のEC市場規模は世界第1位です。外国企業が中国での販売に利用する越境ECプラットフォームの市場シェアも、中国系が大半を占めています。特にアリババグループは、2019年に「网易考拉海購(Kaola.com)」を買収し、中国の越境ECマーケットにおいて6割超ものシェアを誇るようになっています。
ヨーロッパにおける海外EC市場規模も、年々拡大しています。2019年度のヨーロッパにおける越境EC市場の売上高は、ヨーロッパ外の企業が上位を占めています。
東南アジアでは、特に「マレーシア」「インドネシア」「シンガポール」「ベトナム」の4つの国々の海外EC市場が盛り上がりを見せています。これらの国々ではスマホの普及が急速に加速していることから、越境ECに触れる機会が増加したと見られています。
海外ECサイトを立ち上げるメリット・デメリット
本章では、日本企業が海外ECサイトを立ち上げるメリット・デメリットの中から、それぞれ代表的な項目をピックアップして解説します。
メリット
越境ECサイトの立ち上げによって期待される代表的なメリットは、以下のとおりです。
- 海外の顧客を獲得できる
- 海外に実店舗を出すよりも出店や店舗運営が簡単
- 競合の少ない環境でビジネスを展開できる
- 日本製品に魅力を感じる顧客を獲得できる
越境ECを活用して自社の販路を海外にも広げられれば、国内では得られない海外の顧客をターゲットにできます。
顧客の絶対数が増えるだけでなく、日本の製品のニーズが高い国にターゲットを絞ることで、売上アップが見込める可能性があります。
デメリット
海外ECサイトの立ち上げによって問題となりやすい代表的なデメリットは、以下のとおりです。
- 高額な輸送コストがかかる
- 対象国の法律・規制に対応しなければならない
- 決済に関するトラブルが発生しやすい
- 対象国の言語に対応しなければならない
大きなデメリットとして、輸送コストの高さが挙げられます。越境ECでは日本から海外に向けて発送することから、国内への配送よりも輸送コストが高額になるのが一般的です。配送料や関税が高額になるため、顧客が行う支払いに非常に大きな金額が上乗せされてしまう可能性があります。
海外ECサイトの市場規模ランキング【2022・2023年最新版】
まずは、主要なB2C国の国別EC市場規模(シェア)のランキングを紹介します。TOP5の国およびEC市場規模は以下のとおりです(2021年時点のデータ、参照:経産省サイト)
- 中国:52.1%
- アメリカ:19.0%
- イギリス:4.8%
- 日本:3.0%
- 韓国:2.5%
上記を見るとわかる通り、ECの市場規模の多くを中国が占めています。
また、こちらは少し古いデータですが、主要なB2C国の海外EC(越境EC)市場規模(利用者数)のランキングをご紹介します。(2017年時点の推計値、参照:UNCTAD Economy Report2017)
- 中国:7,000万人
- アメリカ:3,400万人
- イギリス:1,400万人
- ドイツ:1,200万人
- フランス:1,200万人
海外ECの市場規模においても、中国のシェアが多いことがわかります。
次に、その中国における海外ECに利用されているWebサイトのシェアを、ランキング形式でまとめました(2020年第3四半期時点のデータ、参照:経済産業省)。
- 天猫(Tmall):36.8%
- 網易考拉(Kaola.com):27.4%
- 京東(JD.com):13.9%
- 唯品会(vip.com):8.3%
- アマゾン(Amazon.cn):4.3%
上位4位までは中国企業であり、海外ECサイト全体のうち86.4%を占めている状況です。中国では、ほとんどのユーザーがスマートフォンで海外ECサイトを利用しており、利用者の年齢層のトップは25歳~34歳です。海外ECを展開する際には、中国におけるユーザーの特性も、ぜひ把握しておきたいところです。
海外ECサイトを制作・構築する際のプラットフォームを比較
越境ECサイトを制作・構築する際は、ECモール型もしくは自社型の中からプラットフォームを選択します。これら2つのプラットフォームはそれぞれ性質が大きく異なるため、自社に適したものを選択することが大切です。
ここからは、プラットフォームを比較できるよう、それぞれの持つ代表的な特徴を順番に解説します。
ECモール型
ECモール型は、1つの大きなECサイト内に複数のショップが出店し、それぞれが販売を行うプラットフォームです。
ECモール型を選ぶメリットの1つに、当初から大きな集客効果や認知度を活用できる点が挙げられます。立ち上げ当初に特別な顧客流入を促す施策を講じる必要がなく、商品の魅力と顧客のニーズが合致していれば、スムーズに購入につなげることが可能です。
自社型
自社型のプラットフォームは、企業もしくは個人が独自ドメインを取得し、自身でサイトを立ち上げて販売を行う形式です。
自社型の大きなメリットは、ECモール型にあるようなルール・規定に縛られることなく、デザインや機能面のカスタマイズを自由に行える点です。例えば、販売商品のコンセプトに併せて、ロゴ表示やブランドイメージ確立の仕方など、好みの要素を柔軟に取り込めます。
越境ECを始める前に知っておきたい5つの注意点
こちらでは、海外ECサイトを立ち上げるにあたって事前に知っておきたい注意点を解説します。越境ECを始める前には、以下で取り上げる5つのポイントに注意しましょう。
①言語の違いによる壁
言語の違いは、越境ECサイトを立ち上げるうえで高いハードルとなっています。すでにある自社のECサイトを海外仕様に変える場合と、海外ECサイトを新たに立ち上げる場合がありますが、いずれにおいても、現地の言語へ正確に翻訳することが求められます。文化や風習によって、若干のニュアンスの違いが生じる点も考慮しなければなりません。
以上の課題を解決するには、翻訳代行サービスへの依頼が効果的です。顧客からの問い合わせにスムーズに対応するうえでは、多言語に対応できるカスタマーサポートも利用を検討しましょう。
②許可証に関するリサーチ
越境ECサイトを立ち上げる際は、各国の定める輸出許可証を取得する必要があります。
例えば、アメリカを対象に越境ECサイトを立ち上げて食料品・化粧品・医薬品などを販売する場合、FDA登録を行わなければなりません。
化粧品の輸出に関しては、EU加盟国であればEU化粧品規則、ASEAN加盟国であればASEAN化粧品指令に則った手続きが求められます。
許可を取得せずに販売すると、違法となります。通関に遅れが出るだけでなく、拒否されて返送や留置されるケースもあるため、注意しましょう。
③決済方法の選定と確認
決済方法の選定・確認にも注意が必要です。進出国で一般的に使用されている決済方法を選定しなければ、顧客に抵抗感を与えてしまい、購入を控えられるかもしれません。
また、越境ECサイトに関しては代金未回収のトラブルが起こりやすいため、不安があれば決済代行サービスの利用も検討しましょう。
④税金の納付と申請手続き
海外ECサイトでは他国に商品・サービスを販売するため、現地に税金を納める必要があります。関税や付加価値税などさまざまな種類の税金がありますが、進出国によって課される税目が異なります。
他国での納税義務だけでなく、日本での申請手続きも求められるため、事前にしっかり調べておきましょう。不安があれば、地元の会計士や輸出に詳しい税理士に相談することが望ましいです。
⑤物流の方法とトラブル時の対応
越境ECサイトで利益をあげるには、物流面も考慮する必要があります。配送方法によっては、損となるケースもあるためです。
少量のやり取りを想定する場合は日本国内からの配送を、大量に商品を販売する場合は販売国での在庫保管を選ぶのが一般的です。
販売国で在庫保管を行うと、保管料はかかりますが、国内から配送するよりも配送料を格段に抑えられます。対して日本国内から配送する場合は、自社での保管が可能であれば、基本的に保管料はかかりません。
少量販売であれば、配送料は販売国から送るよりも割高となりますが、国際スピード郵便を用いて安く抑えられるケースもあります。ただし、スピーディーに配送したいなら、販売国で在庫保管をした方が、圧倒的に早いです。
上記のような輸送コストや配送にかかる日数などを考慮したうえで、商材に合わせて配送方法を選びましょう。
越境ECを始める際にコンサルティングは必要か?
海外ECサイトを立ち上げる際は、コンサルティングを受けることが望ましいです。越境ECサイトの立ち上げでは、以下のような複雑で多岐にわたる施策が求められるためです。
- ECサイト運営に関するビジネス、プロモーション戦略の策定と実行
- 進出国に関する情報収集
- 法律や規制、税関に関する専門知識の習得と活用
- 現地におけるネイティブレベルの言語能力
- 決済や配送手段の整備
初めて取り組む企業からすると、何から始めて良いのかわからないケースも珍しくありません。
こうした企業にとって、越境ECサイトの立ち上げを多く経験しており、再現性のあるノウハウを蓄積しているコンサルティング会社のサポートは、不可欠だといえます。
海外ECサイトにリニューアルする際のポイント
すでにある自社のECサイトをリニューアルし、海外ECサイトとして展開することも可能です。その場合は、以下の箇所を中心に、ローカライズ(現地対応)を行うことが重要です。
ローカライズする箇所 |
説明 |
デザイン |
海外ユーザーのEC利用デバイスはスマホがメインであり、ECサイトのスマホ最適化が必要不可欠。 |
言語 |
優先度によってネイティブ翻訳と自動翻訳を使い分けることが大切(例:キャッチコピーや商品名といった購入者の意思決定に直接影響する要素はネイティブに翻訳を依頼する。商品の素材やサイズなど細かな文字情報は自動翻訳ツールを用いる)。 |
カート画面 |
入力フォームの補助機能(EFO)を実装し、コンバージョン率の向上を図る。 |
受取と決済の方法 |
国や地域ごとに多く利用されている受取と決済の方法に対応し、コンバージョンにつなげる。 |
まとめ
海外ECサイト(越境ECサイト)での販売は、母数の大きい海外の顧客をターゲットにできたり、競合の少ない環境でビジネスを展開できたりするメリットがあります。その一方、高額な輸送コストがかかったり、対象国に応じた法律・規制への対応策が求められたりする点はデメリットです。
越境ECサイトの立ち上げを成功させるには、進出国に関する情報収集のほか、法律・規制・税関に関する専門知識の習得などが求められます。何から初めて良いのかわからない場合は、海外ECサイトの構築や、リリース後の保守も含めて上流工程から任せられる、実績の多い会社に一度相談してみてはいかがでしょうか。
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