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クライアントインタビュー|セントワークス 大西氏

➖『基本設計の大切さ』を実感する大西社長率いる、セントワークスがオフショア開発を成功させた理由とは?➖


セントワークス株式会社/SAINT-WORKS CORPORATION(以下、セントワークス)は全国の介護に携わる事業者の方々が、介護の仕事に専念でき、より質の高い介護サービスを提供できるよう、経営支援サービス等を展開する企業です。また同社では平成24年4月より、「集中力と生きがいの創造」をテーマとしてワーク・ライフバランス プロジェクトを進めており、スタッフひとりひとりの労働生産性を高め、プライベートの充実を図って、やりがいや生きがいを見出すという取り組みを行なっています。(参照:セントワークスHPより)

この度、当社で開発を行なった【かじなび】は、2017年7月に新サービスとしてスタートしました。川崎市や東京都23区を中心に首都圏で調理や家事支援サービスを必要とする方と、家事サポーター〈家政婦〉をつなぐ家政婦マッチングサービスです。コウェルではこのサービスのシステム開発をお手伝いさせて頂きました。

今回はセントワークス 代表取締役社長 大西氏にサービス発想のきっかけやオフショア開発導入、プロジェクト進行時の様子や、リリースまでを詳しくお伺いしました。


■はじめに、御社のビジネスについて教えてください。

大西:当社はセントケア・ホールディング株式会社(以下、セントケア・ホールディング)を親会社に持ち、セントケア・グループ全体としては、地方も含めた全国約500拠点をベースに介護事業を提供しています。
その中でグループホームなどの施設もありますが、当社が得意としているのは自宅で高齢者をケアする「訪問介護」です。ただし、当社が提供するのは直接的な介護サービスではなく“グループで培ってきた介護ノウハウを積極的に活用し、同業他社を含めた各介護事業所の支援事業”です。
例えば集客などのマニュアル化やセミナー開催等も行なっています。特徴的なのは、ITと介護を結びつけたサービスで、介護事業所向けの請求業務支援システム『Suisui Remon』等です。その他にもシェアドサービス、人材派遣紹介、ワーク・ライフバランスコンサルティングなど多岐にわたる事業を展開していますが、いずれもグループで培ってきた高度なノウハウを、介護業界に広げていくというコンセプトです。

セントワークス大西様



■「かじなび」を企画したきっかけは?

大西:実はもともとは、セントケア・ホールディング会長の村上の発案なんです。国の方針として社会保障給付(介護給付)費用をなるべく抑えていこうという流れの中で、平成27年4月の法改正、平成30年度介護報酬改定等により、要介護度が低い方への生活援助(家事援助)は給付の対象外となり、自治体レベルで独自サービスを作りなさいと切り離された背景がありました。
セントケアグループでは質の高いサービス提供を目指していることもあり、要介護度の重い方向けのサービスを拡充し、生活援助などのサービスは行わないという方針になりました。
しかしながら高齢のヘルパーさんは、身体介護は体力的に大変なので生活支援のヘルパーさんの働き口がなくなってしまうということで、村上が自社採用ではなくうちでできないかと考えたんです。Uberなどの シェアリングサービスの流れもあって2〜3年くらい前からプロジェクトが走り始めました。 当社の前社長が現在のセントケア・ホールディングの専務に就いていることもあり、システム開発関連なので当社で行う方向で話が進みました。



■開発会社選定の際のポイントと当社を選ばれた理由をお聞かせください。

大西:当初、自社で開発できるのでは?との考えもありましたが、なるべく開発費を抑えたいと思っていました。 「かじなび」の開発検討がスタートする以前からコウェルの取締役、吉田さんとは知り合いの社長を介して面識がありました。でもその際は「オフショア開発やっている会社なんですよ」という程度でした。
以前、私は直接関わらなかったですけど、他社を利用してオフショア開発を1人月お試しでやってみたそうなんです。1人月なので日本側で対応したそうですが、ユーザー側も要件を出し切っておらず、エラーも多かったので予定より長引き上手くいかなかったようです。
私が「かじなび」でオフショア開発を検討し始めた頃、ずいぶん前から情報収集していてうちもオフショアに出すとしたらベトナムかなと思ってはいました。中国などのオフショア先の人件費がだいぶ上がり始めていたので。その後、コウェルを既に利用しているTSUTAYAさん登壇のセミナーへ参加したことで具体的な相談をさせていただくようになりました。セミナーの中でコウェルが『基本設計から全部一括してサポートします』と仰っていたので、「基本設計をうちでできないと基本的にオフショア活用が難しい」と思っていた当社には朗報でした。私も設計をできないですし、当時私自身がこの開発の陣頭指揮兼開発担当者だったこともあって基本設計からフォローしてくれるのは有難いと思いましたね。

セントワークス大西様



■開発は具体的にどんな体制で、どのように進めていかれたのでしょう?

大西:当社側は、私の他に要件など技術面でサポートをしてくれる社員ともう1名開発担当の女性スタッフの3名ですね。要件定義はコウェルと内容を詰めて行った感じです。最低条件として基本設計とかは、私ができないのでお願いしますとお伝えしていました。コウェル側が3名体制で上流の案件定義や基本設計まで色々なモデル提案をしてくれて相談しながら固めていく感じでした。
基本設計が終わるまでは日本側で行っていました。開発期間は全体で半年程でしたが、開発段階になるとベトナム側のエンジニアが最大で10名(インターンを入れると実質20名?)くらいで対応してくれていました。
開発が安定してくるとやり取りは直接ベトナム人BSEと行いましたが、設計の細かい部分など、問題が生じた際の対応のために継続して日本側のサポートも入ってくれていましたね。開発期間中は結構この案件に付きっきりで社長業務もあるので結構ハードで体重は落ちました(笑)。
使用したツールは、リアルタイムでのやり取りは「Slack」、プロジェクト管理ツールは開発スタートの段階からコウェルから提案があり「Redmine」を導入していました。あと、ワイヤーフレーム(画面イメージ)共有として「InVision」も採用していましたね。
私の方でチケットのコントロールはしていたんですけど、こちらの要望が増え度々チケット発行が行われると、現場でどの作業が最優先か順位がつけられなくなっているという課題がありました。そこで週1回の定例会議でExcelで作成した優先順位管理表で作業の一番上のものから作業するスタイルで進めました。



■開発工程で特に難しかった部分はどんなところでしょうか。

大西:そうか、こうなるのかと思う部分はありましたね。日本語の間違いが非常に多かったですね。テキストベースでの日本語の部分は結構お任せで、最初の段階の仕様書で盛り込むテキスト一言一句まで詳細に指示を出していなかったんです。なので、出来上がったものを見るとシステム内で表記される日本語がやはり少し変だった。イマイチな日本語を一つ一つ修正指示を出していくのが結構大変でした。膨大な数あるので。修正依頼は300件程あったと思います。

セントワークス大西様



■当初の開発メンバーとプロジェクトを進める中で印象に残っていることはありますか。

大西:当時「かじなび」の開発のBSEはベトナム人女性だったんです。でもこの開発終了後『こんなにBSEが大変な仕事だとは思わなかったです』と言って退職してしまったんです。BSEが初めてだということもあったそうですが、すごく優秀な方で調整能力が高かったのでなんだか申し訳なくて、残念です。
あとは、ベトナムエンジニアの開発スピードがとても早いことです。リリース前に300件の修正指示を出していて、『本当にできるのかな?』と不安でしたが、1日に10件以上の修正をこなしていましたね。もちろん人員も多かったと思いますが、これには本当に驚きましたよ。このスピードを活かせば、かなり良いのではと感じましたね。



■出来上がってきた製品への評価、品質やコミュニケーション、サポート体制等どのように感じましたか?

大西:今となっては安定してきているので、今回の「かじなび」に関しての評価としては十分合格点をあげられると思います。
コミュニケーションではまだ話がかみ合わなかったりという場面もありますが。あとは開発工程でエンジニア側では、縦型の各々の開発はいいのですが、各機能を横断するような整合性システムや数字的なチェック機能が足りておらず、こちらで再度リクエストすることもありました。
おそらく、一つのシステムの中でもこちら側のパートとあちら側のパートというように作る担当者が別々なのでトータル的に見て他の機能を相互的にチェックすることが難しいのかもしれません。 そのことを見落とすとエラーが後々の工程で出てしまうので注意が必要でしたね。



■コミュニケーションは開発を円滑に進める上で重要なポイントの一つになりますが、特に気をつけたことや工夫されたことはありますか?

大西:そうですね、やはり、日本人同士だと主語や詳細、経緯とか省略しても話の流れの中で汲み取って理解してもらえますよね。でもそのやり方は通用しないなと思いました。なのでBSEに話すときも主語、述語など結構意識しました。文書でできる限り指示を出したり。
本来私は怒鳴ったり声を荒げるタイプではないのですが、日本人相手ではついつい口調が強くなったりしてしまいます。でも、出来る限りそれは抑え、根気強く付き合って行くことにしました。それが大切かもしれないですね。また、コウェルの方から事前にベトナムエンジニアのモチベーションのためにも3ヶ月に1回はベトナムに来て下さいね、と言われていたのでその通りにしました。
大体、基本的に節目節目でプロジェクトスタート時ではサービス背景の説明を行い、終了時では感謝の意味で欠かさずベトナムへ出向きました。チームビルディングではひたすらお酒を注いで回るのも慣習になっています。(笑)
また、コウェルアジアでは、ミーティングにBSE以外のエンジニアメンバー全員も集めて行い、その場で分からない事を共有・確認していましたね。



■これまでを振り返ってみて、開発前と後でオフショアに対する考え方はいかがですか?

大西:オフショア開発を実際に始める前はオフショアのイメージとして『トラブルが多い、上手く使いこなせれば金額的に安くなる』と考えていました。 実際に今回開発を進めてみて“こちら側がきちんと仕様を固めて渡さないと現場のエンジニアが混乱する”ということを痛感しました。渡す順番とかも大切でしたね。
また、「かじなび」に関してはこちらの窓口も陣頭指揮も私でしたのでレスポンスが早く、決断が早く行えたことでスムーズに開発工程も進行できた印象でした。もしこれが、決定権を持つオーナー、実際のユーザー、開発窓口担当者が複数いれば事態はもっと変わっていて決断にも時間を要していたでしょう。そういった一つ一つの時間のロスが納期や色んな所に影響が出てきますよね。

セントワークス大西様



■最後に、オフショア開発を成功させる秘訣みたいなものがあるとしたら、どんな点が挙げられるでしょうか?これからオフショア開発を始められる方に、アドバイスがあればお願いします。

大西:やっぱり開発の最初の段階で基本設計や仕様書をきっちり固めておくことが成功要因ですね。あとは決定権を持つ人が直ぐにレスポンスできる体制をクライアント側が準備しておく必要もあると思います。



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今回、インタビューを通じて感じたのは、オフショア開発の成功の鍵となるのは、「上流工程での案件定義や基本設計が重要である」という意識や、「クライアント側の丸投げしない姿勢や決断のレスポンスの迅速さ」という体制管理にあるのかもしれません。
コウェルではご指摘いただいた課題に関して、真摯に受け止め、クライアントの皆様に満足いただけるよう環境改善に努めて参ります。
大西様インタビューにご協力いただきありがとうございました。