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業務請負と業務委託の違いは?請負契約を締結する企業側のメリットやデメリット・注意点4選も解説


目次[非表示]

  1. 1.業務請負契約とは
  2. 2.業務委託契約とは
  3. 3.委任契約とは
  4. 4.準委任契約とは
  5. 5.業務請負契約と委任契約・準委任契約の違いを解説
    1. 5.1.業務請負契約と委任契約の違い
    2. 5.2.業務請負契約と準委任契約の違い
  6. 6.業務委託と人材派遣の違い
    1. 6.1.指揮命令権
    2. 6.2.報酬の支払い対象
  7. 7.企業が請負・業務委託契約を締結するメリット・デメリット
    1. 7.1.請負・業務委託契約のメリット
    2. 7.2.請負・業務委託契約のデメリット
  8. 8.請負契約・業務委託契約を締結する際の注意点4選
    1. 8.1.どの契約類型に該当するのか明確にして偽装請負を防ぐ
    2. 8.2.納品物・納品期限を明記しておく
    3. 8.3.契約解除の要件を事前に検討しておく
    4. 8.4.再委託を認めない旨を明記しておく
  9. 9.まとめ

業務請負契約とは

業務請負契約とは、ある特定の業務を完成させるために結ばれる契約形態の一つで、「請負契約」とも呼ばれています。大きな特徴は、業務の「結果」に焦点が当てられている点です。
 
業務請負契約では、業務を請け負った側(請負人)がどのような手段・方法を用いて業務を遂行するかは、通常、契約を締結した側(発注者)が細かく指示・管理しません。
 
業務請負契約は、発注者側からすると、業務の進行を詳細に管理する手間を省けます。しかしその一方で、業務の結果に対する責任を請負人に委ねることになるため、適切な請負人を選定することが重要です。



業務委託契約とは

業務委託契約とは、民法で規定されている「請負契約」「委任契約」「準委任契約」の総称です。契約書を作成する際に「業務委託契約書」という名称を使用することもありますが、これは法律上の用語ではありません。したがって、業務委託契約は、日常業務で使用される実務用語として理解してください。
 
業務委託契約は、委託者が受託者に対して特定の業務を委託するために結ばれる契約です。請負契約との違いは、「仕事の完成が必須とされているかどうか」にあります。
 
請負契約では、何らかの仕事を完成させることが請負人の義務とされています。そのため、請負人にとって仕事の完成は必須で、仕事が完成しなければ請負報酬を受け取れません。
 
一方、業務委託契約では、作業の完成を要求するかどうかは契約内容によります。前述のとおり、民法に規定されていない契約であり、後述する「委任契約」「準委任契約」の性質を持つ可能性もあるため、作業の完成の要否を含めて業務請負契約よりも柔軟に内容が決定されるのが特徴です。



委任契約とは

民法において、委任契約は「当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる」と定義されています(民法643条)。
 
ここでいう「法律行為」とは、契約当事者の意志によって法的な効果を生む行為のことです。例えば、日常生活でよく見られる商品の売買は、「売買契約」という形の法律行為に当たります。
 
例えば、あなたが友人に「家に来る前に○○のコンビニでお菓子を買ってきて」と頼み、友人がそれを了承した場合、これは「あなた(依頼者)がお菓子の購入という法律行為(売買契約)を友人(委託者)に依頼し、友人がそれを受け入れた」ことを意味します。これは、委任契約が成立したと言えます。
 
なお、もともと委任契約は無償契約であるため、報酬を発生させる場合には別途その旨を定める必要があります(同法648条1項)。



準委任契約とは

民法において、準委任契約は「法律行為となる事務処理以外の業務の遂行を目的に対価が支払われる契約」と定義されています(同法656条)。
 
準委任契約は、大まかに「成果完成型」と「履行割合型」の2つに分類されます。このうち一般的によく知られている準委任契約は、履行割合型です。
 
成果完成型は、仕事が全て終わった時点で、依頼者が仕事を遂行した側に対して報酬を支払うことが決められた契約です。仕事を遂行する側は依頼者の指示・時間管理下には入らない点が特徴的です。仕事を遂行した側は、成果物を渡すタイミングで報酬を要求できます。
 
これに対して、履行割合型は、仕事を遂行した側がかけた時間や手間に応じて、報酬が支払われる契約の形です。成果完成型とは異なり、必ずしも仕事の成果物の提供が求められない点が特徴となります。一般的に良く知られる準委任は、履行割合型になります。

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業務請負契約と委任契約・準委任契約の違いを解説

本章では、業務請負契約と委任契約・準委任契約の違いを順番に解説していきます。


業務請負契約と委任契約の違い

業務請負契約は、仕事を完全に終えることが約束され、その完成した結果に対して報酬が支払われる契約です。これに対して、委任契約は仕事の完成が必ずしも求められません。
 
また、業務請負契約と違い、委任契約では「瑕疵担保責任」が問われません。つまり、委任契約では、仮に依頼した業務にミスがあったとしても、その責任を仕事を遂行した側に求めることはできません。
 
ただし、瑕疵担保責任が存在しないとはいえ、委任契約であっても依頼された業務に対して必要な注意と管理を怠ってはならないという「善管注意義務」は発生します。
 
そのほか、業務請負契約と委任契約の主な違いは以下のとおりです。

  • 業務請負契約では損害を賠償したうえでいつでも契約を解除できるのに対して、委任契約ではいつでも契約の解除が可能
  • 業務請負契約では再委託が認められている一方で、委任契約では再委託が不可能


業務請負契約と準委任契約の違い

業務請負契約と準委任契約の違いは、「業務請負契約と委任契約の違い」と基本的に同じです。
 
前述のとおり、準委任契約は、基本的に委任契約と同じ特性があります。主な違いは、委任契約が法律行為を対象とする契約であるのに対し、準委任契約は法律行為以外の業務を扱う点です。
 
実際に準委任契約を活用する際は、委任契約のルールを適用して契約を締結することが多く、これらを厳密に区別する必要性は特にないのが実情です。
 
瑕疵担保責任がない点や、いつでも契約解除できる点、再委託が不可能という点についても、準委任契約と委任契約には同様の特徴をもっています。



業務委託と人材派遣の違い

人材派遣とは、派遣会社と協定を結び、その派遣会社から専門の労働者を提供してもらう契約形態のことです。
 
人材派遣契約では、派遣された労働者に対して具体的な業務指示を出します。これにより、発注側は必要な労働力を確保することが可能となります。雇用期間には定めがあり、報酬は労働力に対して支払われる形です。
 
本章では、業務委託と人材派遣の主な相違点を2つ紹介します。



指揮命令権

派遣契約では、派遣された労働者は派遣元派遣会社だけでなく、派遣先の企業からも具体的な業務指示を受けます。これは、派遣労働者が派遣元企業と派遣先企業の両方に指揮命令権があることを意味します。
 
これに対して業務委託の場合、委託側は受託側やその従業員に対して、具体的な作業手順・作業時間・休日・作業場所などの指示を出す権限がありません。


報酬の支払い対象

人材派遣と業務委託では、報酬の支払い対象も違います。
 
人材派遣の場合、労働者が働いた時間にもとづいて報酬(賃金)が支払われます。一方、業務委託では、作業時間や成果物の完成度などに対して報酬が支払われます。


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企業が請負・業務委託契約を締結するメリット・デメリット

最後に、業務請負契約および業務委託契約を締結する際に把握しておくべき注意点4つを、順番に解説します。


請負・業務委託契約のメリット

請負・業務委託契約の代表的なメリットを下表にまとめました。

メリット

解説

成果に対して費用を支払えば済む

  • 派遣契約とは違い、請負契約では時給による給与換算ではない。
  • 必要ない時間分の給与を支払うことなく、成果にのみ報酬を払うため経済的なメリットが大きい。

教育コストを削減できる

  • 請負契約の労働者は、すでに専門的なスキルをもっており、自分たちで仕事をこなせるため、基本的に依頼者からの具体的な指導・教育は必要ない。
  • 研修や教育の時間とコストを大幅に節約できる。

指揮命令コストを削減できる

請負契約では作業の具体的な指示や監督権限は請負会社がもっており、発注側は具体的な作業指示や監督に関わるコストを気にする必要がない。


請負・業務委託契約のデメリット

問題となりやすいデメリットは以下のとおりです。


デメリット

解説

業務クオリティの維持・管理が困難

  • 請負契約では作業内容を委託した人材に委ねるため、人材の技術力によって業務の品質にばらつきが生じる。
  • 委託した人材が高いスキルをもっていれば問題はないものの、逆に技術力が足りない人材に作業を依頼すると、成果物の質が期待以下になるおそれがある。

ノウハウ・技術が蓄積されない

  • 請負契約で業務を外部の人材に任せると、その人材がもっている技術やノウハウが会社に蓄積されない。
  • 業務に関する専門的な知識・技術を会社内で共有したり、他のメンバーに広めたりすることが難しい。

コストが高くなりやすい

  • 請負契約で活用する人材は専門的な技能をもっていることが多いため、報酬が高くなる可能性がある。
  • 請負契約を長期間続ける場合、自社の正社員に仕事を任せた方がコストが安くなるケースもある。




請負契約・業務委託契約を締結する際の注意点4選

最後に、業務請負契約および業務委託契約を締結する際に把握しておくべき注意点として4つの項目をピックアップし、順番に解説します。



どの契約類型に該当するのか明確にして偽装請負を防ぐ

契約書のタイトルに「業務委託契約書」と書かれていても、実質的な内容によって契約類型(請負契約・委任契約・準委任契約)は変わります。それに伴い適用される法律のルールも変わるため、どの契約類型に該当するのかを事前にしっかり確認しておきましょう。
 
なお、実質的に人材派遣契約であるにもかかわらず、「請負契約」や「業務委託契約」などに偽装する行為は「偽装請負」に該当します。これは労働者派遣法・職業安定法・労働基準法などに違反する可能性があるため、注意が必要です。


納品物・納品期限を明記しておく

契約上のトラブルを未然に防ぐためには、まず契約書で「納品すべきもの」がはっきりと明記されているか確認しましょう。また、「納品期限」が具体的に書かれていることも大切です。
 
さらに、何らかの理由で納品が遅れそうな場合の対応も考えておくべきです。例えば、「遅れが予想される場合は事前に通知する」などと明記されていると安心です。


契約解除の要件を事前に検討しておく

契約書を確認する際、自社がいつ契約を終了できるか、条件が明確に記載されているか確認することも大切です。
 
前述のとおり、契約の種類により、解除の要件は異なります。例えば、請負契約では作業が完了する前であれば依頼者が契約を解除できます。一方、委任契約では、原則としていつでも契約を解除することが可能です。
 
契約を終了する条件が契約書で明らかにされていることで、将来的なトラブルを避けることができます。
 
また、「催告をしたうえで履行がなければ解除ができる」「特定の事由が生じたときは催告なく直ちに解除できる」などと事由の重大性に応じて措置を分けるのも効果的です。


再委託を認めない旨を明記しておく

契約書を締結する際は、業務が再委託される可能性も確認しましょう。
 
業務を依頼する際には受託者の専門スキルや経験を見て判断するのが一般的です。そのため、もし再委託が許されると、自社が期待した結果が得られないリスクが高まります。
 
さらに、再委託により個人情報やその他のデータが漏洩する危険性も考慮に入れるべきです。これらの理由から、基本的には再委託を許可することは推奨されません。


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まとめ

業務請負と業務委託の違いは、「仕事の完成が必須とされているかどうか」にあります。業務委託契約では、仕事の完成を要するかどうかが契約内容によって決まります。仕事の完成の要否を含めて、業務請負契約よりも柔軟に内容が決定されるのが特徴的です。
 
開発などで外部のリソースを活用したい場合は、業務請負と業務委託の違いを十分に把握しておくことが大切です。そのうえで、自社にはどのようなベンダー選定がベストかを検討しつつ、開発実績が豊富な企業に対して見積り・具体的な相談をするとよいでしょう。





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