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マイクロサービスとは?導入のメリットとデメリット、活用のポイントや必要な技術を簡単に解説


目次[非表示]

  1. 1.マイクロサービスとは
    1. 1.1.従来の開発手法「モノリシックアーキテクチャ」との違い
    2. 1.2.SOA(サービス指向アーキテクチャ)との違い
  2. 2.マイクロサービスはなぜ注目されているのか
    1. 2.1.多様化する顧客のニーズにすばやく対応するため
    2. 2.2.コロナ禍以降デジタル技術の重要性が高まっているため
  3. 3.マイクロサービスを導入するメリット
    1. 3.1.機能の追加・変更がしやすく開発スピードを向上できる
    2. 3.2.問題発生時のリスクを軽減できる
    3. 3.3.コードの再利用が可能
  4. 4.マイクロサービスを導入するデメリット
    1. 4.1.システム設計・統括の難易度が上がる
    2. 4.2.機能間でデータの一貫性を維持しにくくなる
    3. 4.3.デバッグ・統合テストの実施が難しくなる
  5. 5.マイクロサービスは内製化の一助となるか
  6. 6.マイクロサービスの構築に必要な技術
    1. 6.1.API
    2. 6.2.コンテナ
    3. 6.3.アジャイル開発
    4. 6.4.DevOps
  7. 7.マイクロサービスを導入する際の注意点
  8. 8.まとめ

マイクロサービスとは

マイクロサービス(Microservices Architecture:マイクロサービスアーキテクチャ)は、大規模なシステムを小規模なサービス群で構築する開発手法を指します。
 
マイクロサービスの特徴は、各サービスが独立して機能し、特定の任務を担当することです。
 
各マイクロサービスは自身のデータストアを持ち、他のサービスとはAPIを通じて通信します。
 
その結果、各サービス間の依存性が低下し、開発やデプロイ・スケーリングがそれぞれ独立して行えるようになります。


マイクロサービスイメージ



従来の開発手法「モノリシックアーキテクチャ」との違い

マイクロサービスアーキテクチャとモノリシックアーキテクチャは、ともにシステム開発の手法ですが、運用方法に大きな違いがあります。
 
モノリシックアーキテクチャ(Monolithic Architecture)とは、一つの大きなアプリケーションとして全ての機能をひとまとめにした開発手法です。すべての機能が一つのプログラム内に組み込まれており、それぞれの機能が密に結びついて動作します。そのため、開発・デプロイ・テストが容易である反面、一部の機能に問題が発生した際には全体のアプリケーションに影響を及ぼしやすく、全体を一度にアップデートしなければならないといったデメリットがあります。
 
これに対して、マイクロサービスアーキテクチャでは、アプリケーションを小さな独立したサービスに分割し、各サービスがそれぞれ特定の機能を担当します。各サービスは個々にデプロイやスケーリングが可能で、他のサービスとAPIを通じてやり取りを行うため、一部のサービスに問題が生じても他のサービスに影響を与えにくいメリットがあります。


マイクロサービス違い



SOA(サービス指向アーキテクチャ)との違い

マイクロサービスアーキテクチャとサービス指向アーキテクチャ(SOA)は、システムを独立したサービスに分割する点では共通していますが、いくつかの点で違いが見られます。マイクロサービスとSOAの大きな違いの一つは、コンポーネントの共有にあります。
 
マイクロサービスは各パーツが自立して動作するため、他のパーツとの共有は最小限になります。これにより、一部に問題が発生しても他への影響が少なく、システム全体が安定します。また、各パーツの更新も独立に行えるため、新しいバージョンへの更新が簡単で、特定の部分の拡大縮小もスムーズに行えます。
 
これに対して、SOAではコンポーネントの共有が行われます。各サービスはESB(エンタープライズサービスバス)へのアクセスを共有するため、この接続経路に問題が起きると、同じ経路を使っている他のサービスも影響を受け、機能しなくなる可能性があります。


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マイクロサービスはなぜ注目されているのか

昨今、多くの企業がマイクロサービスによるシステム開発に取り組んでいます。具体的には、以下に取り上げる2つの要因によってマイクロサービスの注目度が上がっている状況です。


多様化する顧客のニーズにすばやく対応するため

マイクロサービスを利用すれば、開発の効率が上がり、顧客のニーズに迅速に対応できるようになります。
 
ビジネス界は日々進化し、新たなサービスが次々と登場しています。加えて、技術の進歩に伴い、顧客ニーズも多様化しており、そのニーズに対応するスピードも必要とされています。
 
マイクロサービスの利用により、顧客満足度を向上させるだけでなく、企業の信頼性も高めることができるでしょう。


コロナ禍以降デジタル技術の重要性が高まっているため

新型コロナウイルスの影響で人々が直接的な人との接触を避けるようになった現在、社会活動や経済を維持するためにデジタル技術の重要性が一層増しています。
 
実店舗での販売からECサイトへのシフトなど、生活スタイルの変化に伴う各種サービスのデジタル化が進行しています。
 
マイクロサービスは、このような変化に柔軟に対応できるだけでなく、開発効率の向上にも寄与できるため、大きな期待が寄せられています。


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マイクロサービスを導入するメリット

本章では、システム開発においてマイクロサービスを導入するメリットの中から代表的な3つをピックアップし、順番に解説します。


機能の追加・変更がしやすく開発スピードを向上できる

システム・アプリケーションが稼働を開始すると、新機能の追加やバグの修正といった改良作業が常に行われます。
 
すべての機能が一つにまとまっているモノリシックアーキテクチャでは、その改良作業を重ねるうちにコードが複雑化し、全体の理解が難しくなります。新しいサービスの開発や既存のサービスの改良に時間がかかってしまう点が問題です。
 
これに対して、マイクロサービスアーキテクチャでは、それぞれのサービスが独立して開発・実装を行えます。全体の理解がしやすく開発や改良もより迅速に行えるようになるため、結果として生産性の向上につながります。


問題発生時のリスクを軽減できる

大規模なシステムで問題が発生すると、問題の箇所を特定し、修理するために大きな手間と時間がかかります。
 
マイクロサービスでは各サービスが独立して機能するため、一部に障害が起きてもその影響は限定的です。不具合が起きている部分のみを修理すればよいため、修理時間を短縮できます。
 
さらに、マイクロサービスでは新機能の追加や既存機能の改良が他のサービスに影響を与える可能性が低いため、問題が発生した場合も対象となる部分のみを修理・交換し、全体の運用を続行することが可能です。


コードの再利用が可能

マイクロサービスではそれぞれの機能を細分化し構築するため、新たに似た機能を追加する際には、既存のコードを再利用することが可能です。類似の機能をゼロからプログラムする手間を省けるため、開発時間の短縮や労力の削減に大いに貢献します。



マイクロサービスを導入するデメリット

マイクロサービスにはメリットだけでなくデメリットもあるため、両面を把握したうえで導入を検討しましょう。ここでは、マイクロサービス導入のデメリットとして特に問題となりやすい3つの点をピックアップし、それぞれ詳しく説明します。


システム設計・統括の難易度が上がる

マイクロサービスのメリットに「一つの大きなシステム内で、それぞれ異なる技術を使用できる」点がありますが、これは裏を返すと「システム全体の設計が複雑化し、難易度が高まる」というデメリットになる恐れがあります。
 
特に、初めに設定した各サービス・機能の範囲を後から変更することは困難であるため、設計段階での慎重な検討が必要です。 それゆえ、設計担当者やプロジェクトリーダーには、多様な知識と高度な技術力が求められます。


機能間でデータの一貫性を維持しにくくなる

マイクロサービスでは、機能ごとに異なるデータストアを使います。機能ごとに同期することなくデータ処理を行う場合もあります。そのため、データの統一性や整合性を保つのが難しくなるという問題があります。
 
複数の一貫性がないシステムを限られた人員で管理する必要性が高まることから、コストがかさむおそれもあるでしょう。


デバッグ・統合テストの実施が難しくなる

マイクロサービスでは、多くの独立した機能が結合して一つのシステムやアプリケーションを形成し、それがユーザーに提供されます。そのため、ユーザーに完全なサービスを提供する前に、各部分がきちんと連携して動作するかどうかを確認するデバッグ・統合テストが必要です。
 
しかし、もしテストの過程で何らかのエラーが生じた場合、その原因となる特定の機能を特定するのは難しいかもしれません。なぜなら、各機能が独立しているため、どの機能がエラーを引き起こしたのか追跡する作業が複雑となるためです。


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マイクロサービスは内製化の一助となるか

マイクロサービスは、企業のシステム開発を内製化するための有力な支援策となり得ます。
 
以前と比較して、システム開発の障壁は現在では大幅に下がっています。以前は、大規模なモノリシックアーキテクチャを構築し維持・運用するのが一般的であり、そのためには多大な労力が必要でした。しかし、現在ではマイクロサービスアーキテクチャの方法が登場し、小規模な単位で俊敏に構築し、手軽に運用できるようになっています。
 
また、現在では、コンテナ技術やIaCといった自動化手法が導入されています。アプリケーションの開発過程も、一度に全てを計画し実行する「ウォーターフォール型」から、小さな部分ごとに迅速に開発を進める「アジャイル型」や「DevOps」に移行しています。
 
マイクロサービスのほか、クラウド・コンテナ・IaCなどの最新技術を活用することで、アプリケーションの運用や保守にかかる時間や労力を大幅に削減できます。開発速度も大幅に上がるため、企業が自社でシステムを開発する「内製化」が進むと考えられます。


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マイクロサービスの構築に必要な技術

本章では、マイクロサービスの構築に必要な技術について、意味や概要を解説します。


API

マイクロサービスは、各サービスが独立して動く設計をしていますが、それぞれのサービスが一つの大きなシステムとして協力して動くためには、何らかの方法で連携する必要があります。そのために使われるのがAPIです。
 
APIは「Application Programming Interface」の略で、ソフトウェア・アプリケーション・サービスがお互いに通信するための接点や通路のことです。APIを用いることで、あるサービスが別のサービスの機能を使用できるようになります。


コンテナ

コンテナとは、OS上にアプリケーションごとの専用区画を作成する仮想化技術のことです。この特徴により、各サービスを個別に更新したり調整したりできるようになります。
 
マイクロサービスでは各サービスが独立して機能するため、コンテナ技術の特徴と非常に相性が良いです。


アジャイル開発

アジャイル開発では、大きなプロジェクトを小さな部分に分割し、それぞれを短い時間で開発・テストするサイクルを繰り返し、最終的に一つのシステムを完成させます。
 
マイクロサービスは、各サービスが個別に開発・更新を行うという特性を持っているため、アジャイル開発の考え方と非常に相性が良いです。


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DevOps

DevOpsとは、開発者(Development)と運用チーム(Operations)が連携し、迅速かつ柔軟な対応で開発を進める手法です。マイクロサービスは、細かな変更に素早く適応できる特性をもっています。そのため、システムの動きを監視しながら問題点や改善点を見つけ出し、柔軟に対応するDevOpsの開発体制と相性が良いと言えます。



マイクロサービスを導入する際の注意点

マイクロサービスを導入する際は、どの程度の大きさでサービス(機能)を区切るのか注意して決めましょう。機能を細かすぎる単位で分ければ、追加のコストやシステムの遅延を生じさせるおそれがあります。一方、大きすぎる単位で分けてしまうと、マイクロサービスの利点を享受することが難しくなります。
 
また、データベースについても注意深く考える必要があります。各機能がそれぞれデータベースを持ち、一つのデータベースには一つの機能のみがアクセスできるようにすることが大切です。そのようにすることで、機能ごとの独立性が確保され、データベースのロックやトランザクションに関する問題、あるいはパフォーマンスの低下などを避けることができます。



まとめ

マイクロサービスには、「機能の追加・変更がしやすい」「問題発生時のリスクを軽減できる」など、さまざまなメリットが期待できます。一方で、システム設計・統括の難易度が上がったり、機能間でデータの一貫性を維持しにくくなったりするデメリットがあります。
 
マイクロサービスのメリット・デメリットを知ったうえで、内製化につなげたり、アジャイル開発の導入を検討したりすると良いでしょう。アジャイル開発や内製化を含めてマイクロサービスを検討する際は、実績が多い開発会社に相談することをおすすめします。

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