グローバルに製造業を展開するN社様では、強固な代理店網を持つ一方、アナログな商習慣により「誰が自社製品を買っているのか」が見えない課題を抱えていました。また、拠点ごとに製品情報が個別管理され、情報の正確性やブランド統一性の維持が困難な状況にありました。
単なるEC構築ではなく、「代理店と共に成長するためのデジタル基盤」として、既存商流を活かしたプラットフォーム化が求められていました。

本プロジェクトにおいて最大の挑戦は、メーカー・代理店・エンドユーザーの三者が、それぞれにメリットを感じられる「三方良し」のプラットフォームを構築することでした。Adobe Commerceの高度なB2B機能をフル活用し、以下の3点を軸に設計を推進しました。
実商流を忠実に再現するシステム設計:
単なる販売サイトではなく、メーカー・代理店・エンドユーザーの階層構造をデジタル上で再定義。各プレイヤーの役割や商流をシステム化することで、既存のビジネスモデルを毀損することなく、デジタルへのスムーズな移行を促しました。
「統制」と「最適化」を両立する権限管理:
グローバル本社が製品マスタやブランドイメージを一括統制(ガバナンス)しつつ、フロントエンドでは代理店ごとに表示価格や販促コンテンツをパーソナライズ。統制されたブランド体験と、現場レベルの柔軟性を両立させました。
代理店をファンにするためのベネフィット提供:
プラットフォームを単なる「報告ツール」にするのではなく、代理店自身の見積業務や注文管理を効率化する「DX支援ツール」として提供。代理店が自ら使いたくなる環境を整備することで、データの蓄積を加速させました。
具体的な実装においては、Adobe Commerceが持つ標準機能を高度に組み合わせ、N社様固有の複雑な要件を解決しました。
1. Company Structureによる「顧客接点の見える化」
Adobe Commerceの企業アカウント管理機能を活用し、どの代理店がどのエンドユーザーを担当しているかを厳密に紐付けました。これにより、これまで不透明だった「どの地域のどのユーザーが、どのような検討プロセスを経て購入に至ったか」という足跡が可視化され、メーカー側での的確なマーケティング分析を可能にしました。
2. 共有カタログとB2B見積機能による「共存モデルの実装」
代理店ごとに卸価格や製品ラインナップを制御できる「Shared Catalog」を導入。さらに、システム上で代理店から顧客へ見積発行ができる機能を備えました。ここで重要なのは「代理店の顧客情報は他者やメーカーには利用されない」という権限設定を徹底したことです。この技術的な裏付けによる安心感が、代理店側の積極的な利用に繋がりました。
3. マルチサイト機能による「グローバル情報ガバナンス」
一つの管理基盤から多言語・多通貨のサイトを並行展開するマルチサイト機能を活用。製品仕様や技術資料などのマスタデータを本社が一括管理し、世界各国のサイトへリアルタイムに配信する体制を整えました。これにより、情報のサイロ化を解消し、常に最新のスペック情報を市場へ届けることが可能となりました。

システム刷新後、N社様では以下の効果が得られています。
データドリブンな営業戦略への転換
不透明だった商流がデータとして蓄積され、潜在ニーズの把握や、確度の高い見込み客へのアプローチが可能になりました。
情報更新工数の大幅削減
グローバルでのカタログ更新作業が統合され、手作業によるミスや拠点ごとのタイムラグが解消。ガバナンスレベルが飛躍的に向上しました。
代理店とのデジタル・エコシステムの完成
アナログだった受発注業務がデジタルへ移行し、双方の事務工数が削減。メーカーと代理店が同じプラットフォーム上で協力し合う、強固なパートナーシップが構築されました。
今後は蓄積されたデータのAI分析によるレコメンド強化など、さらなる高度化を予定しています。引き続き、N社様のグローバルでのデジタル変革を伴走支援してまいります。
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