大手倉庫・物流会社によるECサイトの大規模リニューアルプロジェクトにおいて、フロントエンドおよびバックエンドの全面刷新が行われました。本プロジェクトでは、商品管理、在庫連携、受発注処理、会員機能など複数の業務ドメインが密接に連携しており、システム全体の整合性を担保するためには広範囲かつ高精度なテストが求められていました。
しかし、既存ドキュメントは最新仕様と乖離している部分が多く、画面仕様や業務ロジックの詳細が不明確な状態でした。そのため、単純なテスト実行だけでなく、仕様の補完やテスト観点の再整理が必要となり、テスト設計フェーズ自体に高度なスキルが求められる状況でした。
さらに、開発スケジュールはタイトであり、開発と並行してテストを進める必要があったため、不具合検知から修正・再テストまでのサイクルを高速で回す体制構築が重要な課題となっていました。
本プロジェクトに対し、まず豊富なQA実績を持つPMをアサインし「テスト戦略・計画」を提案、全体のテスト戦略および計画の策定から着手しました。単なるテスト実行支援ではなく、品質保証の上流工程から関与することで、プロジェクト全体の品質リスクをコントロールするアプローチを採用しました。
具体的には、既存ドキュメントと実際のシステム挙動とのギャップを洗い出し、画面遷移図や業務フローを再構築しながらテスト観点を整理。ブラックボックステストに加え、業務シナリオベースのエンドツーエンドテスト観点も定義しました。また、優先度・リスクベースでのテスト設計を行い、限られた期間内でも重要機能の品質を確実に担保できるよう設計し、進捗・品質状況を可視化するためのレポーティングフローを整備し、日次での課題共有・改善サイクルを回すことで、開発チームとの密な連携を実現しました。
また、コストを抑えつつ大規模な実行力を確保するため、ベトナム拠点のQAチーム活用を提案し、日本語でのコミュニケーションを前提としたハイブリッド体制を構築しました。
実施フェーズでは、日本側PM1名、ベトナム側QAエンジニア3名の体制を構築し、オフショアとオンサイトを組み合わせたハイブリッドモデルで対応しました。まず初期フェーズにおいて、仕様理解とテスト設計を並行して進め、画面単位・機能単位でのテストケースを体系的に作成しました。
テストケースは、正常系・異常系・境界値を網羅しつつ、業務フローに基づいたシナリオテストも含めて設計し、最終的に約20,000件規模のテスト資産を構築。これらを効率的に実行するために、テスト管理ツールを活用し、進捗・不具合状況をリアルタイムで可視化しました。
また、不具合管理においては、再現手順・影響範囲・優先度を明確にしたチケット運用を徹底し、開発側へのフィードバック精度を向上。これにより、修正対応のスピードと品質が向上し、再発防止にも寄与しました。
具体的な実施内容は以下の3点です。
本プロジェクトでは、計画通りに約20,000件のテストケースを消化し、大規模リニューアルにおける品質リスクを最小限に抑えた状態でのリリースを実現しました。特に、仕様不明確な状態からテスト設計を再構築した点は、プロジェクト全体の品質底上げに大きく寄与しました。
テスト実施の過程で多数の不具合を検出し、その多くをリリース前に解消することで、本番環境での重大障害発生を未然に防止。結果として、ユーザー影響を最小化し、安定したサービス提供が可能になりました。
また、進捗・品質の可視化により、ステークホルダー間の認識齟齬を防ぎ、意思決定の迅速化にも好影響を与え、単なるテスト外注ではなく、品質保証パートナーとしての価値を提供する結果となりました。
具体的な成果内容は以下の3点です。
今後は、本プロジェクトで構築した約20,000件のテストケースを資産として活用し、継続的な品質向上に繋げていく方針です。特に、機能追加や改修時における回帰テストの効率化において、大きな効果が期待されています。安定稼働に向けて、特に重要なシナリオについての自動化検討を進める予定です。
さらに、テスト資産の再利用性を高めるために、テストケースのモジュール化や自動化の検討も進めていき、CI/CDパイプラインへの組み込みにより、リリースサイクルの高速化と品質担保の両立を目指します。
また、今回構築したQAプロセスを標準化し、他プロジェクトへの横展開を行うことで、組織全体の品質レベルの底上げにも寄与していきます。単発のプロジェクト支援にとどまらず、継続的な品質改善の仕組みづくりへと発展させていきます。
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