大規模ECリニューアルにおける2万件のテスト完遂と
「仕様不明」×「短納期」を突破した品質基盤

導入前の課題

  • 大規模リニューアルに伴い、数万件規模のテスト実施が必要となる中、自社リソースのみでは網羅的な検証が困難な状況にあった。
  • 仕様書の不備やドキュメント未整備が多く、テスト観点の洗い出しやケース設計に工数がかかり、品質担保にリスクがあった。
  • 短納期の中で開発と並行したテスト実施が求められ、不具合の早期検知・修正サイクルを回す体制が整っていなかった。

導入後の効果

  • 20,000件に及ぶテストケースを体系的に設計・実行し、低コストかつ高品質なオフショアQA体制により、予算内での品質担保に成功、機能・非機能の両面で高い品質を担保。
  • 日本語による詳細な不具合報告(700件以上)と進捗管理により、開発チームとの連携を強化し手戻りを最小化。
  • 不具合の早期検出と優先度管理を徹底し、リリース遅延リスクを回避しながら安定した本番稼働を実現。
  • プロジェクト概要と課題

仕様不明×短納期、2万件テストで品質担保

大手倉庫・物流会社によるECサイトの大規模リニューアルプロジェクトにおいて、フロントエンドおよびバックエンドの全面刷新が行われました。本プロジェクトでは、商品管理、在庫連携、受発注処理、会員機能など複数の業務ドメインが密接に連携しており、システム全体の整合性を担保するためには広範囲かつ高精度なテストが求められていました。

しかし、既存ドキュメントは最新仕様と乖離している部分が多く、画面仕様や業務ロジックの詳細が不明確な状態でした。そのため、単純なテスト実行だけでなく、仕様の補完やテスト観点の再整理が必要となり、テスト設計フェーズ自体に高度なスキルが求められる状況でした。

さらに、開発スケジュールはタイトであり、開発と並行してテストを進める必要があったため、不具合検知から修正・再テストまでのサイクルを高速で回す体制構築が重要な課題となっていました。

  • 提案内容

上流QA主導で品質リスクを可視化・制御

本プロジェクトに対し、まず豊富なQA実績を持つPMをアサインし「テスト戦略・計画」を提案、全体のテスト戦略および計画の策定から着手しました。単なるテスト実行支援ではなく、品質保証の上流工程から関与することで、プロジェクト全体の品質リスクをコントロールするアプローチを採用しました。

具体的には、既存ドキュメントと実際のシステム挙動とのギャップを洗い出し、画面遷移図や業務フローを再構築しながらテスト観点を整理。ブラックボックステストに加え、業務シナリオベースのエンドツーエンドテスト観点も定義しました。また、優先度・リスクベースでのテスト設計を行い、限られた期間内でも重要機能の品質を確実に担保できるよう設計し、進捗・品質状況を可視化するためのレポーティングフローを整備し、日次での課題共有・改善サイクルを回すことで、開発チームとの密な連携を実現しました。

また、コストを抑えつつ大規模な実行力を確保するため、ベトナム拠点のQAチーム活用を提案し、日本語でのコミュニケーションを前提としたハイブリッド体制を構築しました。

  • 実施内容

不具合管理を高度化し再発防止を徹底

実施フェーズでは、日本側PM1名、ベトナム側QAエンジニア3名の体制を構築し、オフショアとオンサイトを組み合わせたハイブリッドモデルで対応しました。まず初期フェーズにおいて、仕様理解とテスト設計を並行して進め、画面単位・機能単位でのテストケースを体系的に作成しました。

テストケースは、正常系・異常系・境界値を網羅しつつ、業務フローに基づいたシナリオテストも含めて設計し、最終的に約20,000件規模のテスト資産を構築。これらを効率的に実行するために、テスト管理ツールを活用し、進捗・不具合状況をリアルタイムで可視化しました。

また、不具合管理においては、再現手順・影響範囲・優先度を明確にしたチケット運用を徹底し、開発側へのフィードバック精度を向上。これにより、修正対応のスピードと品質が向上し、再発防止にも寄与しました。

具体的な実施内容は以下の3点です。

  • 仕様理解と並行したテスト設計プロセスの確立
    初期フェーズでは、既存ドキュメントと実装挙動の差分を洗い出すところから着手。画面仕様書・API仕様・業務フローを突き合わせながら、テスト観点を再定義しました。具体的には、画面単位・機能単位でテスト粒度を分解し、「入力条件」「期待結果」「前提データ」を明文化したテストケースを作成。さらに、業務フロー単位でのE2E観点も追加し、単体機能だけでなくシステム全体の整合性も担保する設計しました。
  • 2万件規模のテストケース設計と実行管理の最適化
    テスト設計では、正常系・異常系・境界値分析をベースに網羅性を担保しつつ、リスクベースで優先度を設定。重要機能(決済・在庫・受発注)については重点的にケースを拡張しました。実行フェーズではテスト管理ツールを活用し、テストケース・実行状況・不具合を一元管理。日次で進捗をトラッキングし、消化率・バグ検出率・未対応課題を可視化することで、スケジュール遅延や品質リスクを早期に検知・是正できる運用を構築しました。
  • 再現性と優先度を担保した不具合管理プロセス
    不具合管理では、開発側が即時対応できる粒度での情報整理を徹底。具体的には、「再現手順」「発生環境」「入力データ」「期待値との差分」「影響範囲」をテンプレート化し、チケットとして起票しました。また、Severity(重大度)とPriority(対応優先度)を明確に分けて管理し、ビジネス影響の大きい不具合から優先的に対応し、修正後は必ずリグレッション観点で再テストを実施し、デグレ防止まで含めた品質担保プロセスを確立しました。
  • 成果

仕様不明を解消し再現性ある品質基盤を構築

本プロジェクトでは、計画通りに約20,000件のテストケースを消化し、大規模リニューアルにおける品質リスクを最小限に抑えた状態でのリリースを実現しました。特に、仕様不明確な状態からテスト設計を再構築した点は、プロジェクト全体の品質底上げに大きく寄与しました。

テスト実施の過程で多数の不具合を検出し、その多くをリリース前に解消することで、本番環境での重大障害発生を未然に防止。結果として、ユーザー影響を最小化し、安定したサービス提供が可能になりました。
また、進捗・品質の可視化により、ステークホルダー間の認識齟齬を防ぎ、意思決定の迅速化にも好影響を与え、単なるテスト外注ではなく、品質保証パートナーとしての価値を提供する結果となりました。

具体的な成果内容は以下の3点です。

  • テスト設計再構築による品質基盤の確立
    仕様不明確な状態からスタートした本プロジェクトでは、単なるテスト実行ではなく、仕様整理とテスト設計の再構築を並行して実施。このプロセスにより、画面・機能単位だけでなく業務フロー全体を俯瞰したテスト観点が確立されました。結果として、約20,000件のテストケースが体系的に整備され、属人的ではない再現性の高い品質担保プロセスを構築。以降の改修や追加開発においても流用可能な「テスト資産」として活用できる状態を実現しました。
  • 不具合の早期検出と本番障害の未然防止
    テスト実行フェーズでは、リスクベースで優先度を設計したうえで集中的に検証を行い、重大不具合を早期に検出。特に、決済・在庫連携・受発注処理といった基幹機能に対しては重点的にテストを実施し、ビジネス影響の大きい不具合をリリース前に解消しました。不具合管理においては、再現手順や影響範囲を明確にしたチケット運用を徹底し、開発側の修正効率を向上。修正後のリグレッションテストまで含めたプロセスにより、デグレを防止し、本番環境での重大障害発生リスクを最小化しました。
  • 品質・進捗の可視化による意思決定の高度化:

    テスト管理ツールを活用し、「テスト消化率」「不具合検出数」「未解決バグ」「重大度別の分布」といった指標をリアルタイムで可視化。これにより、プロジェクト関係者全員が同一の品質状況を把握できる環境を構築しました。日次・週次でのレポーティングを通じて、リリース可否判断や優先度調整といった意思決定を迅速化。結果として、感覚ではなくデータに基づいた品質判断が可能となり、ステークホルダー間の認識齟齬を排除しながらプロジェクトを安定的に推進できました。

今後の展望

今後は、本プロジェクトで構築した約20,000件のテストケースを資産として活用し、継続的な品質向上に繋げていく方針です。特に、機能追加や改修時における回帰テストの効率化において、大きな効果が期待されています。安定稼働に向けて、特に重要なシナリオについての自動化検討を進める予定です。

さらに、テスト資産の再利用性を高めるために、テストケースのモジュール化や自動化の検討も進めていき、CI/CDパイプラインへの組み込みにより、リリースサイクルの高速化と品質担保の両立を目指します。

また、今回構築したQAプロセスを標準化し、他プロジェクトへの横展開を行うことで、組織全体の品質レベルの底上げにも寄与していきます。単発のプロジェクト支援にとどまらず、継続的な品質改善の仕組みづくりへと発展させていきます。




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