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IT部門が知っておくべきレガシーシステムとは?意味や問題点から脱却に必要なポイントまでを解説


目次[非表示]

  1. 1.レガシーシステムとは
  2. 2.システムがレガシー化する仕組み
    1. 2.1.部分最適の積み重ね
    2. 2.2.知見の属人化とノウハウを持つ人材の退職
    3. 2.3.システム開発会社への丸投げ
  3. 3.レガシーシステムの7つの問題点(2025年の崖)
    1. 3.1.システム障害の発生
    2. 3.2.パフォーマンス悪化
    3. 3.3.IT人材の確保が困難
    4. 3.4.ビジネス上の障害発生
    5. 3.5.コンプライアンス対応が難化
    6. 3.6.働き方を制限するおそれ
    7. 3.7.最新技術の活用で後れをとる
  4. 4.レガシーシステムからの脱却方法・対策
    1. 4.1.モダナイゼーション
    2. 4.2.マイグレーション
    3. 4.3.SaaSやIaaSなどのクラウドサービス活用
  5. 5.外注によりレガシーシステムからの脱却を図るポイント
    1. 5.1.基幹システムの運用・保守に関する現状分析
    2. 5.2.レガシーシステム脱却を主導するDX人材の把握
    3. 5.3.補助金の活用を検討
  6. 6.まとめ

レガシーシステムとは

レガシーシステムとは、過去の技術や仕組みで構築されている情報システムを意味する言葉です。技術革新による代替技術が広く普及した段階から見て、旧来の技術基盤によって構築されているコンピュータシステムをさします。


特に1980年代に多くの企業が導入した、メインフレーム(汎用コンピューター)およびそれを小型化したオフィスコンピューターをレガシーシステムと呼ぶことが多いです。これらは、各ベンダーの独自技術により構築された独自仕様のシステムでした。


また、1990年代後半から2000年代に開発されたオープン系システムでも、過去の技術や仕組みで構築されており、最新技術への対応が難しいものについて、レガシーシステムと呼ぶことがあります。

レガシーシステムのメインフレームは、独自OSで稼働します。アプリケーションソフトウェアは、COBOLなどの言語を用いて、自社の業務に応じて独自に開発するケースが一般的です。


情報のブラックボックスイメージ




システムがレガシー化する仕組み

ITは進歩が速く、現行の技術も時間を置かずにレガシー化します。しかし、ユーザーの進歩は技術の進歩ほど速くないため、前時代のデバイスやシステムを使い続ける人が多くいます。これが、システムがレガシー化する仕組みです。


ただし、レガシーシステムが生まれる原因は、単純にシステムの老朽化のみにあるとは言い切れず、人的な要因も存在します。本章では、情報システムがレガシー化する仕組みとして、人的な要因を3つ解説します。


部分最適の積み重ね

部署ごとに情報システムを最適化したり、新技術を導入したりすることを繰り返していると、情報システムが複雑化・肥大化し、レガシー化につながる要因となります。


予防には、全体最適の視点を意識したり、部分最適をおこなわせないためのガバナンスを強化したりするなどの対策が求められます。


知見の属人化とノウハウを持つ人材の退職

基本的に、レガシーシステムは、運用する企業独自の設計がされています。


こうした特徴があるレガシーシステムにおいて、アプリケーションソフトウェアの改修が必要な場合、自社で実施する、もしくはSIerなど外部のシステム開発会社に依頼して対応しなければなりません。しかし、メインフレームの技術に精通した技術者の間で高齢化が進み、構築したシステムでも担当者に依存していたり設計詳細がブラックボックスであったり、ドキュメントが不十分でシステムの設計やソースコードの理解が困難になる場合も多く、結果的にシステムがレガシー化する要因となります。


また、IT人材は比較的転職以降が強い特徴があり、退職リスクが高いです。突然の転職にも対応できるよう、ノウハウのマニュアル化をはじめ技術継承の対策を実施しておくことが望ましいです。


システム開発会社への丸投げ

システム開発を外部に丸投げし、社内にそのシステムに関するノウハウ・技術を持った人材を確保していない企業も少なくありません。こうした企業では、社内でシステムを適切に運用できず、システム構築を依頼した企業に頼らざるを得なくなり、結果的にレガシー化のリスクが高まります。


上記の事態を防ぐためには、自社でデジタル人材を確保・育成したうえで、バランスよく外部業者に頼れる体制構築をおこなう必要があります。


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レガシーシステムの7つの問題点(2025年の崖)

経済産業省は、2018年に発表した「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」 において、「DXが進まなければ、2025年以降、年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性も高い」としています。


同レポートの中で、2025年に基幹系システムの老朽化(レガシーシステム化)によって多大な経済損失が出る可能性も指摘しており、DXに取り組むことの重要性を唱えています。


上記の点を踏まえて、本章ではレガシーシステムを放置することで生じる主な問題点を7つピックアップし、順番に解説します。


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システム障害の発生

レガシーシステムの使用を継続すると、システム障害の発生確率が高まります。システム障害発生時には、老朽化や処理能力が低いことが原因となって、データを処理しきれずにシステムダウンするおそれがあります。


こうしたトラブルが発生すると、事業活動が停止してしまい、多くの損失が発生しかねません。消費者に大きな影響があれば、信用が失墜するリスクもあります。


パフォーマンス悪化

これまで何度もカスタマイズをおこなってきたレガシーシステムは、システムのパフォーマンスが悪化するリスクがあります。


たとえば、一定量のデータを集めて一括処理をおこなうバッチ処理の夜間実施では、システムが古いと処理に膨大な時間がかかります。パフォーマンスが悪いと、処理やバックアップなどの作業が業務の開始時間までに終了しないといったトラブルが発生する可能性も高くなります。


IT人材の確保が困難

レガシーシステムの使用を続ける企業では、前時代のテクノロジーに対応できる技術者が高齢化していたり、毎年退職したりしていて、人材の確保が年々難しくなっています。


たとえば、1950年代に開発されたプログラミング言語「COBOL」は現在もアップデートされ続けており、オブジェクト指向やオープン化など多様なプログラミング開発の手法にも対応しています。


しかし、古い言語であるため、対応できる技術者のほとんどは高齢者です。そのため、基本構造を理解したうえで処理できる技術者の数が減少しており、企業は常に人材確保の問題に悩まされています。


ビジネス上の障害発生

先行きが不透明で将来の予測が困難な現代においては、企業に求められるシステム要件が目まぐるしく代わり、頻繁にシステム更新が必要とされています。


こうした状況下でレガシーシステムを放置していると、臨機応変にアップデートをおこなえず、ビジネスの遅延を招くおそれがあります。


コンプライアンス対応が難化

ビジネス関連の法律は、高い頻度で改正が加えられます。こうした法改正に既存のシステムが対応できない場合、事業の継続自体が困難になります。法改正に対応するため、新たなシステムを補助的に導入したり、場合によってはマンパワーで対処したりといった状況に陥りかねません。


働き方を制限するおそれ

テレワークの普及をはじめ働き方の多様化が加速する現代において、レガシーシステムがこうした流れを妨げるおそれがあります。 システム処理が遠隔操作に対応していなければ、その処理のためだけに出社が必要になることも想定されます。


働き方の多様化を推進できない場合、人材採用の面でも不利な状況となりがちなため、企業としてもデメリットが大きいです。



最新技術の活用で後れをとる

レガシーシステムは、最新のシステムとの互換性がなく、連携できない可能性が高いです。

技術は日々進歩しており、次々に新たなシステムが開発され、ビジネスの利便性が向上を続けています。最新のシステムを導入していないと、新規取引先との間でシステム面の要件が一致せず、取引できなくなるリスクがあります。



レガシーシステムからの脱却方法・対策

レガシーシステムを放置すると、深刻な問題・リスクが生じる可能性があります。本章では、レガシーシステムから脱却するために役立つ方法を3つ解説します。自社の状況を踏まえて、通常業務に負担をかけずに実行できる方法を選びましょう。


モダナイゼーション

モダナイゼーションとは「近代化」を意味し、古くなったデータやプログラムを、最新の製品・設計に置き換える手法のことです。

つまり、既存の資産を活かしながら新しい技術や設計でレガシーシステムを刷新するのが「レガシーモダナイゼーション」です。

モダナイゼーションをおこなうには、以下3つの手段があります。


  • リプレイス: 老朽化・故障したシステムと同等の新たなシステムに置き換え、既存データを運用する
  • リホスト :システムの開発言語をそのままに、現在と異なる環境にシステムを再構築すること
  • リライト :システムの要件はそのままに、古いプログラムを新しい開発言語で書き換えること


モダナイゼーションは、新しくシステムを開発するよりも、低コストで実行できるのがメリットです。


マイグレーション

マイグレーションとは「移動」「移転」の意味で、 既存システムや保有データを現在と異なる環境に移行させることです。


システム移行を目的とする場合は「レガシーマイグレーション」、データの移行を目的とする場合は「データマイグレーション」と呼びます。システムやデータを段階的に移行でき、リスクを抑えつつ対策できるのがメリットです。

マイグレーションの進め方



SaaSやIaaSなどのクラウドサービス活用

昨今、刷新後のシステムをクラウドサービスへ移行する企業が増えています。


システム運用を自社保有のハードウェア上でおこなうオンプレミス(※オンプレミス:システム運用を自社保有のハードウェア上で行う)の状態では、ハードの故障によりシステムが稼働しなくなるなどのトラブル発生リスクがあり、メンテナンスコストが増大します。


こうした問題は、クラウドサービスを利用することで解決可能です。クラウドサービスに移行することで、自社でハードを保有せずに済むため、これまで保守に費やしていたコストや人的資源を他の施策や業務に活用できるようになります。




外注によりレガシーシステムからの脱却を図るポイント

レガシーシステムに関する課題が山積している企業では、外注によってレガシーシステムからの脱却を図ることも有効です。本章では、レガシーシステムからの脱却を図るうえで外注する際に注意しておくべきポイントを3つ解説します。


基幹システムの運用・保守に関する現状分析

レガシーシステムからの脱却を図る前に、情報システムの運用・保守などに関する現状を分析することが大切です。具体的には、各システムに実装されている機能や、現場でのシステム運用方法などを把握・整理しましょう。


その後、どの範囲をどのレベルで刷新するかを定義し、そのための社内体制を整備しましょう。IT技術やマネジメントなどの能力が高い人材をプロジェクトマネジャーとし、メンバー間や外注先との潤滑油として機能させると、外注をスムーズに進められます。


レガシーシステム脱却を主導するDX人材の把握

外注する前には、レガシーシステム脱却を主導するDX人材の職種を把握しておくことも大切です。独立行政法人情報処理推進機構の資料によると、DX人材には下表のような職種・役割があります。

人材の呼称例
人材の役割
プロデューサー
DXやデジタルビジネスの実現を主導するリーダー格の人材(CDO含む)
ビジネスデザイナー
DXやデジタルビジネスの企画・立案・推進等を担う人材
アーキテクト

DXやデジタルビジネスに関するシステムを

設計できる人材
データサイエンティスト/AIエンジニア
DXに関するデジタル技術(AI・IoT等)やデータ解析に精通した人材
UXデザイナー

DXやデジタルビジネスに関するシステムのユーザー向けデザインを担当する人材

エンジニア/プログラマ
上記以外にデジタルシステムの実装やインフラ構築等を担う人材

上表はこちらを引用しております。

出典:独立行政法人情報処理推進機構「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」2019年4月12日



補助金の活用を検討

外注する際は、補助金の活用も検討しましょう。経済産業省や中小機構などが運用する「IT導入補助金」の制度を利用すれば、ツールの導入に掛かる費用の一部を国に負担してもらえます。


補助の対象者や申請期限など、詳細は「IT導入補助金」の公式HPをご確認ください。



まとめ

レガシーシステムとは、過去のテクノロジーや仕組みなどで構築された情報システムです。レガシーシステムの放置には深刻な問題点・リスクがあり、可能な限り早い対処が望まれます。レガシーシステムを抱える企業は、早急に自社の現状を確認し、外注を含めた対策を検討しましょう。


レガシーシステムからの脱却をスムーズに進めたい場合は、業務・基幹システムについて現状整理から開発・保守まで一括で相談できる、実績の多い会社に一度ご相談ください。


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