
オフショア開発の進め方|成功へ導く初めての導入から運用まで
目次[非表示]
- 1.オフショア開発の基本
- 2.オフショア開発を始める前に|準備段階の重要ポイント
- 3.オフショア開発をスモールスタートで進めるのもあり
- 4.オフショア開発における管理(マネジメント)とは
- 5.オフショア開発プロジェクトの立ち上げ方と開発フロー
- 6.オフショア開発の品質管理・テストを実施する流れ
- 7.オフショア先と開発パートナーの選定
- 7.1.
- 7.2.オフショア開発を行う国・企業の選定基準
- 7.3.複数のオフショア開発企業委託先企業から見積もりを取得する
- 7.4.契約条件の確認と契約締結
- 7.5. 開発準備
- 8.オフショア開発の進め方|具体的な実行ステップ
- 8.1.プロジェクト開始、キックオフミーティングの実施
- 8.2.効果的なコミュニケーション体制の確立
- 8.3.開発プロジェクト管理と進捗状況の確認
- 8.4.リスク管理と仕様変更への対応、成果物の確認と品質保証
- 8.5.最終リリースと運用
- 9.オフショア開発を成功させるための注意点
- 9.1.適切な技術スタックの選定とその理由
- 9.2.コミュニケーション不足によるトラブルを避ける
- 9.3.品質管理を徹底する
- 9.4.オフショア先のエンジニアの特性を理解する
- 9.5.利用ツールとプラットフォームの選択
- 10.
- 11.オフショア開発に関するよくある質問
- 11.1.オフショア開発の費用はどのくらい?
- 11.2.オフショア開発の期間はどのくらい?
- 11.3.オフショア開発で失敗しないためには?
- 12.まとめ|オフショア開発を成功に導くために
- 12.1.オフショア開発のメリットを最大限に活かす
- 12.2.計画的な導入と運用で成功を目指す
オフショア開発は、人件費の削減や優秀なエンジニアの確保など、多くのメリットがある一方、コミュニケーションの難しさや文化的な違いなど特有の課題も存在します。本記事では、初めて導入する企業や担当者の方がスムーズに進めるための具体的な方法を、導入から運用までの流れに沿って解説します。
近年、グローバル化の進展により、海外のエンジニアや開発拠点を活用する企業が増えています。しかし、言語や時差の問題だけでなく、品質管理やリスクマネジメントなど、国内開発以上に配慮すべき点が多くあります。これらの点をあらかじめ理解し、綿密な計画を立てることで、オフショア開発を成功に導くことが可能となります。
ここでは、準備段階から実際の開発プロセス、さらには開発が完了してからの運用に至るまでのプロセスを網羅的に説明していきます。各セクションでは、実務経験やリサーチ結果をもとに具体的な注意点やポイントを挙げているので、オフショア開発をこれから検討する方にとって、役立つ情報が揃っています。
オフショア開発の基本
オフショア開発を理解する上で、まずはその基本的な定義や特徴、メリット・デメリットを把握することが重要です。
オフショア開発とは、海外の開発拠点やエンジニアを活用してソフトウェアやシステムを開発する手法を指します。主に人材コストの削減や多言語対応の強化などを目的として、多くの企業が利用するようになりました。特にアジアを中心に、高い技術力を持ったエンジニアをコストを抑えつつ雇用できるという点が大きな魅力です。
一方で、文化的背景や言語の違いによるコミュニケーションロス、期待する品質を得られないリスクなど、国内開発にはない課題が存在します。オフショア先の社会情勢やセキュリティレベルの把握も必要であり、これらの情報収集が欠かせません。コストメリットだけを重視してプロジェクトを進めると、トラブルが生じる可能性が高まります。
こうしたメリットとデメリットを踏まえ、社内での調整やパートナー選定を慎重に行うことで、オフショア開発がもたらす恩恵を最大限に活かすことができます。開発の目的を明確にし、相手企業との協力体制をしっかり構築することが成功への第一歩となります。
オフショア開発とは?その目的と基本知識
オフショア開発は、主に開発コストの削減や優秀なエンジニアの確保を目的に、海外に拠点を置くベンダーと協力してシステムやソフトウェアを開発する手法です。国境を越えてチームを組むことで、グローバルな視点から多様なアイデアが生まれやすくなるという利点もあります。
多くの企業が導入を検討する背景には、国内におけるエンジニア不足や人件費高騰が挙げられます。一方、オフショア先との時差や言語・文化の壁は、プロジェクトマネジメントにおける大きな課題でもあります。
これらの特有の難しさを理解した上で、明確な要件定義と適切なコミュニケーション体制を整備することが、オフショア開発の効果を最大限に得るためには欠かせません。
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オフショア開発を始める前に|準備段階の重要ポイント
実際にオフショア開発を導入する前に押さえておきたい、社内体制や要件定義などの確認事項を整理します。
まずは社内での合意形成やプロジェクト方針の明確化を行うことが肝心です。開発の目的とゴールを共有し、経営陣や関連部署からの承認を得ましょう。特に予算やスケジュールの目安を提示することで、前もってリスクやコミュニケーションコストを見積もることができます。
次に、要件定義を徹底することが重要です。具体的なビジネス要件や機能要件だけでなく、セキュリティポリシーや運用保守の方針などもまとめておくと、オフショア先の開発チームとの認識ギャップを減らせます。
最後に、進捗管理や品質管理の方法を事前に検討しておきましょう。プロジェクト管理ツールの選定やコミュニケーションルールを定め、スムーズな開発フローを支援する仕組みを整えておくことで、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。
開発プロジェクトの目的と目標を明確にする
オフショア開発を始める前に、なぜオフショア開発を行うのか、具体的な目的と目標を明確にすることが非常に重要です。例えば、「コストを20%削減する」や「開発期間を3ヶ月短縮する」といった具体的な数値目標を設定することで、プロジェクト全体の方向性が定まり、オフショアチームとの連携もスムーズになります。目的が曖昧なまま進めてしまうと、プロジェクトが途中で迷走し、結果として失敗に終わる可能性が高まります。
オフショア開発に適したプロジェクトの選定
オフショア開発に向いているプロジェクトとそうでないプロジェクトがあります。Webシステムやソフトウェア開発など、比較的仕様が明確で変更が少ないプロジェクトはオフショア開発に適しています。特に、要件定義がしっかりと行われているプロジェクトは、オフショアチームとのコミュニケーションが円滑に進みやすく、品質を保ちやすいです。逆に、仕様変更が頻繁に発生する可能性のあるプロジェクトや、高度な専門知識を必要とするプロジェクトは、慎重に検討する必要があります。
詳細な要件定義とドキュメント作成
オフショア開発を成功させるためには、詳細な要件定義とドキュメント作成が不可欠です。機能要件、技術要件、スケジュールを明確に定義し、ドキュメント化することで、オフショアチームとの認識のずれを防ぎ、スムーズな開発を促進できます。特に、オフショアチームは日本語を理解できない場合が多いため、図やイラストを多用するなど、視覚的に分かりやすいドキュメントを作成することが重要です。
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オフショア開発をスモールスタートで進めるのもあり
オフショア開発のリスクを最小限に抑えるために、最初は小さなプロジェクトから始める方法も有効です。
いきなり大規模な開発を委託すると、コミュニケーションの不備や品質のばらつきが大きな問題として顕在化する可能性があります。そこで、まずは小規模なタスクやモジュール単位でオフショアパートナーを試すことで、管理体制の確認やコミュニケーション方法をテストできます。
このスモールスタートによって、早期に課題や改善点を見つけることができるため、プロジェクト全体のリスクが軽減されます。たとえば、初めての共同作業であればプロトタイプ開発のみを委託し、その後に本格開発への拡大を検討する流れが理想的です。
また、スモールスタートはチームビルディングの場としても機能します。お互いの働き方のスタイルや報連相のタイミングを調整し、よりスムーズにコミュニケーションができる体制を築いておけば、その後の本プロジェクトでも大きなアドバンテージとなります。
オフショア開発における管理(マネジメント)とは
海外のパートナーとの開発では、日常的な進捗管理やコミュニケーションが鍵となります。どのように管理すべきかを考えます。
オフショア開発では、時間や距離の制約があるため、各種タスクの進捗状況を正確に把握することが難しくなりがちです。そのため、定期的かつ継続的なマネジメントが必須となります。ポイントは、単に資料やレポートで進捗を確認するだけでなく、オンラインミーティングやチャットツールを活用してリアルタイムに状況を共有する仕組みを作ることです。
また、チームメンバーが抱える課題や疑問をすぐに解決できる環境を整備しておくと、コミュニケーションロスを最小限に抑えられます。特に時差がある場合は、日々の連絡が先延ばしになりやすいため、ミーティングの時間をあらかじめ調整しておくことが重要です。
さらに、エンジニア同士の直接的なやり取りだけでなく、リーダー同士が積極的にリスクや仕様変更を話し合う仕組みを作ると、開発全体の品質が向上しやすくなります。これらを踏まえた管理体制が、プロジェクトを成功へと導く大きな要因となるでしょう。
オフショア開発において管理すべき内容
管理対象としては、プロジェクト進捗と品質、リスクマネジメントが大きな柱となります。進捗管理ではタスクの分担や期限の設定を明確にし、こまめにステータスを更新することで問題の早期発見を目指します。
品質管理ではコードレビューやテスト工程の実施が重要です。特にオフショア先では開発文化やコーディング規約の違いがあるため、品質基準を共有したうえで検証体制を整える必要があります。
リスクマネジメントに関しては、時差や言語の壁が原因でのコミュニケーション不足や、政治的・経済的リスクなどにも注意が必要です。定期的にリスクを洗い出し、対策を講じることで、プロジェクトの安定性を高めることができます。
オフショア開発プロジェクトの立ち上げ方と開発フロー
プロジェクト開始から要件定義、設計、開発、テスト、運用までの一般的な流れと、それぞれのフェーズで意識すべき点をまとめます。
オフショア開発の立ち上げにおいては、まずキックオフミーティングを通じてプロジェクトのゴールやスケジュールを明確化します。その後、要件定義に基づいて基本設計と詳細設計を行い、開発チームと連携しながら進めていきます。
開発フェーズでは、進捗報告やレビューサイクルを短く設定し、コミュニケーションと品質管理を徹底させます。特に機能単位でのテスト結果やレビュー内容を即座に共有して、仕様変更にも柔軟に対応できる体制を築くと、手戻りを低減できるでしょう。
最終的に完成した成果物をテストして品質を保証し、納品や運用保守に移行することでプロジェクトは完了となります。この全工程を通じて、最適なマネジメント手法を適用しながら、迅速かつ丁寧に進めることが求められます。
オフショア開発の品質管理・テストを実施する流れ
品質を確保するためには、テスト設計やレビューなど、各フェーズでの取り組みが重要となります。
テスト設計は、開発初期の段階から行うのが理想的です。要件定義や仕様書をもとにテスト項目を洗い出し、オフショア先のチームにもテストの目的と方法を明確に共有することが大切です。
コードレビューでは、単にエラーを見逃さないだけでなく、コーディング規約やアーキテクチャの整合性も確認します。レビュー体制を整えることで、チーム全体が一定の品質基準に則って開発を進められるようになります。
また、リグレッションテストやユーザビリティ検証など、開発後期にも継続的にテストを実施し、問題点を洗い出すことが不可欠です。こうしたテスト工程を飛ばしてしまうと、リリース後に大きな不具合が発覚するリスクが高まりますので、十分な時間とリソースを割くようにしましょう。
オフショア先と開発パートナーの選定
国や企業の特性を理解し、自社のプロジェクトに合ったパートナーを選ぶことが成功の大きな要因となります。
オフショア開発先を検討する際には、その国や地域の経済状況や政治リスク、インフラ環境などをチェックする必要があります。また、企業としての実績や技術力、対応可能な開発言語やフレームワークの幅広さも、重要な選定基準となります。
コミュニケーション面では、英語のレベルだけでなく、どれだけプロジェクトマネジメントやコミュニケーションツールに精通しているかも確認が必要です。文化的背景を理解し合えるパートナーであるかどうかも意外に大きなポイントで、プロジェクトの円滑な進行に影響します。
最終的には、コストや時間だけでなく、チームの相性も考慮した包括的な比較を行うことが大切です。一度契約すると長期的な関係となるケースが多いため、慎重に検討しましょう。
オフショア開発を行う国・企業の選定基準
オフショア開発先として人気の高い国には、ベトナムやインド、フィリピンなどが挙げられます。これらの国々はIT人材が豊富で英語にも対応しやすい特性があるため、日本企業からの注目度が高いのが特徴です。
企業を選ぶ際には、これまでの実績数や開発事例を確認し、自社の開発内容と近いプロジェクトに携わった経験があるかを確認します。また、セキュリティ対策や情報管理体制が十分かどうかもチェックが必要です。
一方、人件費だけでなく時差や言語レベル、文化的な理解度によるトラブルのリスクも加味しなければなりません。長期的な視点で信頼できるパートナーであるかを総合的に見極めることが大切です。
複数のオフショア開発企業委託先企業から見積もりを取得する
パートナー選定時には、複数の企業から見積もりを取得し、価格だけでなく提案内容や開発体制を比較検討します。具体的には、プロジェクトを進めるうえでどのようなコミュニケーションツールを使用し、どの言語での日常連絡が可能かをチェックすることが大事です。
見積もりには、開発期間や対応フェーズが含まれているかを確認しましょう。不透明な費用がないか、追加費用の条件はどのようになっているかを把握しておくと、後からのトラブルを防げます。
また、開発プロセスにおける品質管理の仕組みが提示されているかも重要です。レビュー体制やテスト工程の詳細がない場合は、追加質問を行い、納得できる体制があるかを確認してから検討を進めましょう。
契約条件の確認と契約締結
オフショア開発においては、契約内容の詳細をしっかりと詰めてから正式に締結することが大切です。秘密保持契約(NDA)や知的財産権の扱い、納品物の所有権なども事前に合意しておくことで、後々のトラブルを防げます。
支払い条件やスケジュール、開発遅延時のペナルティーの有無など、費用面でも不明瞭な点を残さないようにしてください。特にオフショア先が海外の場合は、法律や規制が異なるため、契約書を翻訳した上で専門家のアドバイスを得るのも有効です。
契約締結後は、すぐにプロジェクトを開始できるように、コミュニケーション体制や役割分担を再確認しましょう。これにより、契約に基づいたスムーズな立ち上げが可能となります。
開発準備
契約が成立したら、プロジェクトに使用する環境やツールの整備を行います。具体的には、バージョン管理システムやタスク管理ツールを決定し、アクセス権限を付与する手順を確認します。
また、ドキュメントの共有方法や命名規則、コーディング規約なども明文化しておくと、後々のミスを防ぐことができます。これらの基盤をしっかりと整えることで、双方が同じ方針・ルールで作業できる環境が整います。
さらに、キックオフミーティングでは開発スケジュールやタスク割り当てを説明し、質疑応答を通して不明点を解消しておくことが重要です。開発に取り掛かる前の段階で、あらゆる準備をクリアにしておきましょう。
詳細な要件定義書・仕様書の作成とコミュニケーション体制の整備(ツールやプラットフォーム選定、プロジェクトマネージャーの選任など)など、オフショア開発を成功させるためには、開発準備が非常に重要です。
- 詳細な要件定義書・仕様書の作成
要件定義書の重要性: 要件定義書は、プロジェクトの目的、機能、性能、制約条件などを明確にする文書です。これにより、開発チームが何を作るべきかを正確に理解できるようになります。
仕様書の作成: 仕様書は、要件を具体的な技術的な詳細に落とし込んだ文書です。UI/UXデザイン、データベース設計、API仕様などを含むことが一般的です。これにより、開発者が具体的な実装に取り組む際の指針となります。
関係者との合意形成: 要件定義書や仕様書は、関係者全員(クライアント、開発チーム、プロジェクトマネージャーなど)で合意を得ることが重要です。これにより、後の誤解やトラブルを防ぐことができます。 - コミュニケーション体制の整備
ツールやプラットフォームの選定: オフショア開発では、効果的なコミュニケーションが不可欠です。Slack、Microsoft Teams、Zoomなどのコミュニケーションツールを選定し、チーム全体での情報共有を円滑に行えるようにします。
プロジェクト管理ツールの導入: Jira、Trello、Asanaなどのプロジェクト管理ツールを使用して、タスクの進捗管理やスケジュールの調整を行います。これにより、開発の透明性が高まり、問題が早期に発見される可能性が増します。
定期的なミーティングの設定: 定期的な進捗報告や問題解決のためのミーティングを設定し、チーム全体でのコミュニケーションを促進します。これにより、リモート環境でもチームの一体感を保つことができます。 - プロジェクトマネージャーの選任
プロジェクトマネージャーの役割: プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの進行管理、リソースの調整、コミュニケーションの円滑化などを担当します。オフショア開発では、特に重要な役割を果たします。
適切なスキルセット: プロジェクトマネージャーには、技術的な知識だけでなく、異文化理解やコミュニケーション能力も求められます。国や文化の違いを理解し、チームメンバーとの信頼関係を築くことが重要です。
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オフショア開発の進め方|具体的な実行ステップ
実際にオフショア開発を進行するための基本的なステップを一つひとつ解説します。
ここでは、プロジェクト開始から最終リリースまでの主なステップを整理します。ステップを明確に定義することで、進捗状況の管理やリソースの最適化が容易になります。
特にコミュニケーション施策やリスク管理を手厚くすることで、トラブル発生時の対応を円滑に進められます。個別のチームメンバーの役割や連絡先なども明示的に管理しておくと、プロジェクトが大きくなった際にも混乱を避けられます。
以下のサブセクションでは、それぞれのステップで押さえておくべきポイントを経験則とリサーチ情報をもとに紹介していきます。
プロジェクト開始、キックオフミーティングの実施
プロジェクトの開始段階では、キックオフミーティングを行い、メンバー間の顔合わせと役割分担の確認を行います。ここで、プロジェクトの目標や成果物、コミュニケーションルールを共有しておくことが重要です。
キックオフでは、スケジュールやマイルストーンの設定も大きなテーマとなります。あらかじめ各メンバーがどのような作業をいつまでに行うのかを明確にし、甘い見積もりや非現実的な目標を避けるために、できるだけ具体的なタスクを洗い出します。
さらに、プロジェクト管理ツールやレポーティングの頻度を共通認識として固めておくと、後々のやり取りがスムーズになります。特にオフショア環境では顔を合わせる機会が少ないため、このキックオフがチームの絆を強める大切な場ともいえます。
効果的なコミュニケーション体制の確立
オフショア開発で最も重要なのは、定期的かつ明確なコミュニケーションです。チャットツールやプロジェクト管理ツール、オンライン会議システムなどを組み合わせ、適切なタイミングで情報共有を行える体制を作りましょう。
時差を考慮したミーティングスケジュールの設定はもちろん、ドキュメントベースのやり取りを増やすことにもメリットがあります。文字情報として残せば記録が明確になり、後からでも確認しやすくなるからです。
海外のエンジニアは日本語より英語を得意とする場合が多いため、英語のドキュメントを整備するといった配慮も有力な選択肢です。相手の文化やコミュニケーションスタイルに合わせた柔軟な対応が、円滑な開発を実現する鍵となります。
開発プロジェクト管理と進捗状況の確認
開発が始まったら、タスク管理ツールなどを使って各エンジニアの進捗を可視化し、いつでもリアルタイムに把握できるようにします。これにより、作業の重複や抜け漏れを防ぎ、開発効率を高めることができます。
定期的なミーティングで進捗確認を行うことで、問題が発生しているタスクや遅延の兆候を早期にキャッチできます。その際、進捗の遅れが生じている場合は、原因を把握し、追加支援やリソースの再分配など柔軟に対策を講じましょう。
また、プロジェクトマネージャーは全体の進捗だけでなく、品質やテスト状況も併せて確認する必要があります。プロジェクト規模が大きくなるほど、管理ツールや報告ルールの重要性が増すことを意識しておきましょう。
リスク管理と仕様変更への対応、成果物の確認と品質保証
オフショア開発では、仕様変更やトラブルが起きた際に、素早くリスク管理を行える体制を整えておくことが重要です。定期的にリスク評価の時間を設け、発生確率と影響度を分析して対応策を策定しておくと安心です。
仕様変更がある場合は、ドキュメントを更新し、チーム全体で共有します。特に時差のある環境では、リアルタイムのやり取りが難しいため、作業手戻りを極力減らすためにも変更点を明確に伝えるのがポイントです。
成果物が完成したら、評価テストやレビューを行い、プロダクトの品質が仕様に合致しているかを確認します。品質保証の段階で漏れがあると、リリース後のやり直しコストが大きくなるため、慎重に進めましょう。
最終リリースと運用
最終的なリリースの段階では、リリース前後のチェックリストを作成し、不備がないかを総合的に確認します。特に海外チームとの連携時は、リリース時間や作業フローのすり合わせが重要になります。
運用フェーズに入った後も、保守やサポートを継続して行う必要があります。バグ修正やバージョンアップの際にもスムーズに対応できるよう、開発環境や情報を整理しておくことが大切です。
リリース後のフィードバックを次のプロジェクトに活かすサイクルを回せば、開発体制や品質管理のノウハウが蓄積され、より高いパフォーマンスを出せる体制づくりが可能となります。
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オフショア開発を成功させるための注意点
オフショア開発でありがちな失敗パターンを回避するために、事前に押さえておきたい注意点を紹介します。
オフショア開発には確かに大きなメリットがありますが、デメリットや課題も見逃せません。特によくあるのがコミュニケーション不足による仕様の誤認や、品質管理の甘さによる納期遅延です。
こうした失敗を避けるためには、プロジェクトの設計段階からリスクを見据えたマネジメントが必要です。言語の問題や時差による遅れといった基本的な障害を前提に、余裕あるスケジュールを組むことが大切です。
以下では、技術スタックの選び方やコミュニケーション方法、品質管理体制の整え方など、多面的な注意点を解説していきます。
適切な技術スタックの選定とその理由
オフショア開発では、海外チームの得意分野や経験に合わせて技術スタックを選ぶことが多いです。最先端の技術を追いかけすぎても、開発体制が整っていないとスムーズに進まないリスクがあります。
実績があるフレームワークや言語を選定すれば、コミュニケーションやトラブルシュートが容易になります。たとえば、JavaやPHPといったメジャー言語は海外でも実績豊富である場合が多く、安定した開発を期待しやすいです。
また、新しい技術を導入する場合は、しっかりとしたテスト体制や知識共有の仕組みを整える必要があります。技術導入時のリスクとメリットを比較検討し、最適な選択を行うようにしましょう。
コミュニケーション不足によるトラブルを避ける
仕様書の内容が十分に伝わっていなかったり、相手からの質問が放置されていたりするケースは、特に時差の大きい国との開発で起こりがちです。メッセージのやり取り履歴を残し、回答にタイムラグが出ないよう体制を整えましょう。
コミュニケーション方法が不明瞭だと、指示に対する応答が遅れたり、認識の食い違いが増えたりします。使用するツールと頻度を明確に定め、重要な情報はメールなどドキュメントとして残す工夫が大切です。
プロジェクトマネージャーやブリッジSEが積極的に情報を集約し、不明点を放置しないことがスムーズな進行を実現するポイントとなります。
品質管理を徹底する
オフショア開発では、お互いの地域における品質基準のレベル感が異なる場合があります。そのため、プロジェクトの初期段階から品質の定義やテストポリシーを明確にしておくことが必要です。
具体的には、コードレビューの実施頻度やテスト工程の段取り、バグ管理の手法などを文書化して共有します。開発途中でルールが変わらないよう、全員が合意したうえでスタートすることが理想的です。
また、品質指標を数値化して、継続的にモニタリングするのも有効です。メトリクスを定期的に確認し、コードの品質やバグ発生率などを可視化することで、早期に課題を発見できます。
オフショア先のエンジニアの特性を理解する
海外のエンジニアは、日本の企業文化と異なる働き方のスタイルや問題解決手法を持っています。例えば、自律的に意思決定を行ったり、問題点をオープンに議論したりするスタンスが強い国もあります。
この特性を理解していないと、タスクの進め方やコミュニケーションの仕方に誤解が生じることがあります。逆に、彼らの強みを活かせるようなタスクアサインやルール設定を行うと、作業効率が高まるでしょう。
エンジニア個々のスキルセットや得意分野を把握し、それを活かすチーム構成を考えれば、個人のモチベーションが上がり、より質の高い成果物につながります。
利用ツールとプラットフォームの選択
プロジェクト管理ツールは、現地メンバーも操作しやすいものを選びます。具体的には、TrelloやJira、Asanaなどが人気ですが、チームの規模や要件に応じて柔軟に選択しましょう。
ソースコード管理やドキュメント共有には、GitHubやGitLab、Googleドライブ、Confluenceなどが定番です。セキュリティ要件との兼ね合いもあるため、利用規約やアクセス権限の管理に注意が必要です。
コミュニケーションプラットフォームとしては、SlackやMicrosoft Teamsといったメジャーなツールが多く用いられます。どのサービスを使うにしても、事前にルールを決めて混乱を防ぎ、情報を一元管理できるようにすることが重要です。
オフショア開発に関するよくある質問
オフショア開発の導入を検討する上で、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。
オフショア開発は初めて導入する企業や、過去に失敗経験がある企業にとって不安要素が多いのも事実です。ここでは、よくある疑問点に対して実務的な観点から回答を示します。
疑問を解消することで、より具体的な準備やリスクヘッジ策を立案しやすくなります。プロジェクトに着手する前に、気になる点をクリアにしておきましょう。
以下のサブセクションでは、費用や期間、そして失敗経験を踏まえたアドバイスなどを取り上げています。
オフショア開発の費用はどのくらい?
オフショア開発の費用は、開発規模、開発期間、オフショア先の国や企業によって大きく異なります。一般的に、人月単価で費用が計算されることが多く、オフショア先の国によって単価は異なります。例えば、ベトナムでは人月単価が25万円~40万円程度であるのに対し、中国では42万円~86万円程度と、価格差があります。また、開発規模が大きいほど、費用も高くなる傾向があります。
オフショア開発の期間はどのくらい?
オフショア開発の期間は、開発規模やプロジェクトの複雑さによって異なります。小規模なプロジェクトであれば数ヶ月で完了することもありますが、大規模なプロジェクトの場合は1年以上かかることもあります。また、オフショアチームの体制やコミュニケーションの状況によっても、開発期間は変動します。
オフショア開発で失敗しないためには?
オフショア開発でよくある失敗例としては、最初に要件が曖昧なまま進めてしまい、後々大幅な修正が必要になることが挙げられます。また、コミュニケーション不足や文化的なギャップが原因で想定外の問題が発生することも珍しくありません。
このような失敗を避けるためには、冒頭で紹介したように十分な要件定義やリスク管理を行い、綿密なコミュニケーション体制を築くことが不可欠です。ブリッジSEの活用や、スモールスタートでのテストプロジェクトも効果的な手段です。
さらに、ベンダーの選定時に技術力や過去の実績を入念に確認し、プロジェクトの管理に精通した人材を自社側でも配置することで、成功確率を大幅に向上させることができます。
>オフショア開発についての『よくあるご質問』はこちら
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まとめ|オフショア開発を成功に導くために
オフショア開発のメリットを最大限に活かす
オフショア開発のメリットを最大限に活かすためには、コスト削減だけでなく、専門知識の活用や開発スピードの向上も視野に入れることが重要です。また、オフショアチームとの良好な関係を築き、密なコミュニケーションを心がけることで、より高品質な開発を実現できます。
計画的な導入と運用で成功を目指す
オフショア開発は、計画的な導入と運用が不可欠です。事前の準備をしっかりと行い、オフショアチームとの連携を密にすることで、プロジェクトの成功率を高めることができます。また、リリース後も継続的な運用と改善を行い、システムの品質を維持することが重要です。
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コウェルはお客様の課題やご検討状況に応じて、オフショア開発におけるラボ型開発やラボ型によるシステム開発をうまく進めるようご提案やご支援をいたします。
システム化・業務改善の提案からインフラ構築、システム開発、ソフトウェアテストサービス、その後の運用・保守までワンストップで対応が可能です。
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なお、コウェルに関する詳細資料は以下でダウンロードすることが可能です。
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